「自分自身パフィー世代で、ヴィンテージカジュアルが流行っていたときに若い時代を過ごしています。ところが近年は、カジュアルといえばファストファッションや、若年層向けの服が中心。大人が楽しめる服が少ないと感じます」
そう切り出したのは、大人の女性ためのヴィンテージカジュアルのブランド「MARET(マレ)」を立ち上げた寺田智子さん。ブランド名には、すべての出会いを〝稀〟な機会として大事にしたいという思いを込めた。
もともと洋服のデザイナーとして豊富な実績を持つ寺田さん。以前から、海外ならダメージデニムをシニア層でも普通に着こなしているが、日本では若者の格好とされていることに違和感を覚えていた。
「上手くコーディネートすれば、大人でもオシャレに着こなすことができるんです」。その言葉通り、ある購入者は「それ、どこの服?」と聞かれるほど、周囲からも好評だという。
メインで扱うのは、もちろんデニムのアイテム。デニムを仕立てる上で特に難しく、そして面白いが特性のひとつが色落ちだ。寺田さんは、色落ちしたたからこそ格好良くなるよう、縫い代をデザインする。「新品が完璧なのは当たり前。色が落ちて縫い代が見えてきた時に不格好では、意味がありません」と、こだわりを教えてくれた。細部にまで気を配る繊細な思い入れが、人気と品質を支えていることが分かる。また、デニム業界は、男性がほとんどだという。だからこそ、女性らしい感性を強みとして活かすこともできそうだ。
現在は、本格的な生産体制を整えながら、展示会での受注販売が中心。関西をはじめ東京、福岡でも開催し、常に多くのオーダーを集める人気ぶりだ。今後は、受注販売のみならず、セレクトショップでの販売も予定する。さらに、アメリカでの展開を視野に入れた計画も始動中。「将来的にはロサンゼルスにある有名セレクトショップで販売したい」と、夢を語ってくれた。これからの活躍にも目が離せない。
(紙面・女性起業家特集より抜粋)
■MARET(マレ) 大阪市住吉区万代4