政府が石油元売り各社に支給してきた補助金が昨年12月に続き、1月16日からさらに減額される。これに伴い、レギュラーガソリン1㍑あたりの値上がり幅は約5円となる見込みで、価格は185円あたりとなる見通しだ。
政府は高騰する燃料価格への対策として、石油元売り各社に2022年から補助金を支給している。レギュラーガソリン1㍑あたりの全国平均の小売価格が175円程度になるよう設定してきたが、12月と1月の2段階で補助率を縮小しており、これがガソリン価格の上昇に直結している。
レギュラーガソリン180円超え
石油元売りへの補助率縮小 今月もう一度値上がり
昨年12月19日に補助率を引き下げたことで、12月16日に176・8円だったレギュラーガソリン小売価格は、23日には全国平均180・6円にまで上昇。大阪は182・2円だった。全国平均が180円を上回るのは2023年9月25日以来。さらに1月16日以降に補助が5円程度縮小される予定で、小売価格は全国平均で185円程度に値上がりする見通し。
ガソリン価格の上昇は、車を日常の足として利用する家庭や、輸送・物流業界をはじめとする幅広い産業に深刻な影響を与える。物流業界では燃料費の増加によりコスト上昇が避けられず、最終的に物価に影響がおよぶ可能性がある。また、地方の住民からは「公共交通が乏しい地域での生活負担が大きくなる」との声も上がっている。
給油に訪れた主婦は「買い出しや遠出に車を使っていたが、もう出来なくなりそうで気が重い。収入は増えないが、出費がかさむ分、節約しないといけないのが悩みだ」と話していた。
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ガソリン減税の議論も
自家用車を所有する家庭にとって、関心の高いガソリン価格。物価高が市民の生活に重くのし掛かって以降、ガソリン価格の一部を構成するガソリン税の上乗せ分(旧暫定税率)の廃止がしきりに叫ばれてきた。
こうした中、ガソリン税に含まれる「暫定税率」の廃止に向けた議論が進んでいる。昨年12月、自民・公明両党と国民民主党が「暫定税率を廃止する」と合意し、与党の税制改正大綱にその方針が盛り込まれた。ただし、実施時期や具体的な方法については今後の協議に委ねられている。
おさらいのために、ガソリン価格を構成する中身について説明しておこう。
下の図はレギュラーガソリン1㍑180円の場合のガソリン価格の内訳を示したものだ。ガソリン自体の本体価格に税金が加算され、価格を形成している。1㍑あたりのガソリン税は53・8円で、そのうち25・1円が「暫定税率」として上乗せされた部分だ。この暫定税率は1974年に道路整備の財源不足を補うため導入され、当初は一時的な措置とされていた。しかし、その後も継続され、税率はそのまま維持されている。
国民民主党は、この上乗せ分25・1円を撤廃するよう求めており、政府や関係者間で具体的な見直しが進められる見通しだ。
ガソリン価格の高騰が続く中、国民生活への影響を踏まえた今後の動きが注目されている。