大阪・関西万博の開催区として盛り上がりを見せる大阪市此花区。2024年4月に就任した中島新区長に、区の魅力やこれからの街づくりについて、話を聞いた。
―此花区の特徴は
大阪市24区の中で2番目に広い面積を誇っており、大きく4つのエリアに分かれています。①西九条駅周辺エリア、②千鳥橋駅周辺の住居エリア、③住居エリアと湾岸エリアとの間の工業エリア、④舞洲・夢洲などの湾岸エリアです。
「此花区将来ビジョン2027(案)」で西九条駅周辺エリアを「関西ナンバーワンリゾートエリアへの玄関口」と位置付けました。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや大阪・関西万博の開催地となるベイエリアと都心の結節点となります。「西九条」駅からJR大阪環状線で「大阪」駅まで5分、阪神なんば線で「大阪難波」駅まで8分、キタ・ミナミどちらにもダイレクトアクセスができる利便性が大きな魅力です。
―区長は会社員時代、商業施設の開発や街づくりに携わっていたと聞く。西九条のさらなるにぎわい創出に何が必要だと考えるか
人を呼び込むのにやはり「グルメ」は欠かせません。天満や福島のように、独自性があり、「わざわざ訪れてみたい飲食街」が形成できれば面白いのではないでしょうか。また、万博・IR開催を見据え、駅周辺にホテルがあれば便利ですよね。私も就任以来、鉄道事業者やゼネコンなどに要請を続けています。民間による積極的な開発を呼び込み、駅周辺の魅力をさらに向上させていきたいですね。
―大阪・関西万博が地域にもたらす効果については
万博開催区として地域が盛り上がることはもちろんですが、区の魅力をPRできるチャンスでもあります。万博に来られた方が此花区を回遊できるような仕掛けをしていきたいですね。
特にベイエリアは観光資源の宝庫なのですが、まだまだその魅力を伝えられていない。「日本の夕陽百選」にも選ばれている舞洲にはグランピング施設やロッジもあり、まるでリゾート地のような景観が広がっています。
常吉エリアでは、大阪市営のヨットハーバーが民間運営のレジャー施設「大阪北港マリーナ」に生まれ変わりました。我々世代には懐かしい関西屈指のデートスポット「ヘミングウェイ」もオーシャンビューを楽しみながら食事ができるレストランとして復活しました。
ほかにも、梅香エリアをはじめ区内の至るところに世界で活躍しているアーティストが壁に絵を描いた「ミューラル(壁画)アート」があり、「日本一のミューラルタウンに」と盛り上がっています。
これらのエリアと西九条間のアクセスを整備し、区内全域の回遊性を高めることが大切だと考えています。
―アートといえば、正蓮寺川公園に設置された作品も大きな話題を呼んだ
川を埋め立てて造成された公園に、約20年かけて100個以上のアート作品を設置するプロジェクトです。第1弾として、大阪府出身の岡田准一さんをプロデューサーに迎え、世界を舞台に活躍するアーティスト・小松美羽さんによる作品「此花水龍」が設置されました。
正蓮寺川公園は30年の事業完了を目指して、東側から整備が進められています。最終的には、延長約2.5㌔、面積約18㌶と甲子園球場の約5倍の広さになります。今後、この公園を区のにぎわい創出の拠点とすべく、さまざまなイベントを開催していく予定です。
―此花区での暮らしを検討している人に、メッセージを
都心へのアクセスや「関西ナンバーワンリゾートエリア」が注目されがちですが、大阪らしい「人情」に触れることができるのが此花区の魅力の一つです。公園や自然も身近にあり、子育てにも適した街です。区民の皆さんと共に街を活性化し、盛り上げていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。