高校・大学受験に必須の5教科(英・数・国・理・社)。大学受験の共通テストになると範囲も広がるため、5教科の勉強時間を確保するだけでも大変になる。そうなると、どうしても優先順位が下がるのが、音楽、美術、体育といった副教科だ。しかし、近年の研究で、副教科が学力向上に役立つことがわかってきている。
音楽と学力は相関する
アメリカの教育心理学ジャーナルに掲載された研究によると、音楽の授業を受ける高校生は、音楽を学ばない同級生よりも数学、理科、英語の試験で大幅に良い成績を収めるそうだ。また、音楽が「会話に関する脳の部位」を鍛え、言語能力が高くなるという。音楽活動、特に楽器の演奏は脳を発達させ、他教科の成績を伸ばすそうだ。
音楽は「心」に効く
学力に直接関係するだけでなく、「情操教育」の点でも音楽は侮れない。音楽を聴くことはストレス軽減の効果もあり、受験勉強がはかどりそうだ。さらにチームで演奏することで、社会適応力や規律、達成感を習得する。こうした「心」の成長は、進学だけでなく、社会人としての適応力にも関わる。
実際に、西区、福島区で音楽教室「スズキ・メソード神戸・北大阪 原ヴァイオリン チェロ教室」を運営する原有香先生は、「私自身も幼少期からヴァイオリン教室に通っていました。同じ教室に通っていた子を見ていると、楽器がよくできる子はスポーツも万能でしたし、進学校に行く子も多かったですね。助言を素直に聞き、自分自身を見つめ謙虚に取り組む『学ぶ姿勢』を身に付けると、どんな分野にも応用できると思って私も指導をしています」と話す。
「有酸素運動」と「芸術」は脳の発達に不可欠
「運動」が及ぼす学習への効果も見落とせない。有酸素運動を適度に行うことで、記憶力や集中力、情報処理能力が高くなると言われている。また、集中力の向上も見込める。長時間机に向かいっぱなしより、外で遊ぶ時間を増やした方が逆に学力が上がりやすいということだ。
絵を描く・物を作る際に育つ思考力や創造性も、学力向上につながる。近年登場した教育概念「STEAM教育」にも「Art(芸術)」が組み込まれているように、次世代の人材には創造性が必要とされている。学力の先にある「社会で活躍できる人材育成」という観点でも、副教科は軽視できない。
受験を見据えると、どうしても5教科の学習時間の確保を優先に考えてしまう。だが、脳を活性化させるのは、知識や学習法を注ぐための「器作り」のようなもの。副教科には、脳をいきいきとさせるための要素が詰まっている。効率的に学力を上げるためにはどの教科も偏りなく取り組むことが重要だろう。