全大阪労働組合連合会(大阪労連)は、「大阪で普通に子育てするには年間550万円から840万円が必要」というアンケートの分析結果を発表した。大阪労連は少子化問題の解決に向けて「家族を形成する費用を最低限保障できる政策の実行が必要」として最低賃金の引き上げなどを求めた。
3月3日に開催。大阪労連に加盟する労働者など約9500人を対象に、2021年2月から同年8月に実施。「子どもを普通に育てる」ために必要な生計費を試算した。税・社会保険料込みの月額で、30代で約45万6千円、40代で約56万円、50代で約70万円という結果で、年額換算すると30代約550万円、40代約670万円、50代約840万円。
調査で想定した「普通の生活」は、30代の場合で夫婦と小学生(公立)、保育園児(私立)の4人家族。43平方メートル前後の賃貸住宅に住み、家賃は約6万円。月の食費は11万円(1人1食300円あまり)。夫の昼食は月の半分はコンビニ弁当で、飲み会は月2回(1回の費用は3500円)。冷蔵庫、炊飯器などの家電は量販店で最低価格帯の製品をそろえ、夫はスーツ2着(約4万3千円)を着回している。教育費は幼児保育・教育無償化で負担が軽減されており、月額8750円。
教育費の負担増は大きく、40代で子どもが小学生と中学生になり、月額4万4千円。50代で長男が府内の私立大学に通うと想定すると月額13万円になる。
調査結果を分析した静岡県立短期大の中沢秀一准教授は「想定の普通の暮らしは質素で、これぐらいの最低保障ができるような政策の実行が望まれる。一つは最低賃金の引き上げ」と指摘した。