コミュニケーションライター/黄本恵子
「夫にママ友とのトラブルを聞いてほしくて打ち明けたのに、途中でテレビに夢中になりだした…」
「夫に仕事で大変だったことを聞いてほしかったのに、余計なアドバイスをされてイラッとした…」
これは、夫婦間のコミュニケーションでよくあるすれ違いの一つです。
似たようなことで夫(妻)と言い争いになったり、険悪な雰囲気になったことがある…という方も少なくないのでは?
かくいう私も以前、子育ての弱音を夫に打ち明けた時、「しっかりしろよ、母親だろ」と言われて、とても悲しい気持ちになったことがあります。
叱ってほしかったわけでも、激励してほしかったわけでもないのに。ただ気持ちを分かってほしかっただけなのに…。(その瞬間、「もう二度と夫に愚痴や弱音は言うまい」と思いました。夫には、アイデアや手助けがほしいことのみ、打ち明けるようにしています)
なぜ夫はアドバイスをしたがるの?
女性は誰かに話を聞いてもらうだけでスッキリするもの。一番身近な存在である夫には、愚痴ぐらい聞いて、共感してほしいですよね。
どうして夫は妻の愚痴を黙って聞けないのでしょうか?
多くの男性は『問題解決思考』型です。他人から愚痴を打ち明けられると「解決してあげなくちゃ」と考えます。頼んでもいない解決策やアドバイスを意気揚々と語り出すのは、そういうわけです。
そして、自分に解決ができないような愚痴を言われた時は、ストレスを感じます。
また、問題解決思考型の男性は、他人に愚痴を打ち明けることが女性に比べて圧倒的に少ないです。
「愚痴を言ったところで解決しない、どうにもならない」と考えているからです。
なので、女性の「ただ聞いてほしい」という気持ちを理解できず、話を聞いている最中にテレビやスマホに熱中しだすのですね。
妻が喜ぶ聞き方のコツ
男性が妻の話を聞くときには、以下の2点は特に気をつけたいポイントです。
★テレビやスマホを見ながらの『ながら聞き』はしない。
★アドバイスやダメ出し、否定をしない。
相づちは、「うんうん」「ふうん」「へえ~」「そうなんだ」など、バリエーション豊かにした方が、聞いてもらっている感覚が増します。
相手の言葉を繰り返す『バックトラッキング』(オウム返し)も、ときおり入れてみましょう。
妻「こんなこと言われて、すごく腹が立ったの」
夫「それは腹が立つよね~」
感情が込められた言葉を、言い換えをせずにそのまま使うことで、相手は「共感してもらえている」という気持ちがより強くなります。
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家族の話を『聞く』というのは、そもそも大変な行為です。自分事のように考えてしまう面もあり、いろいろ口出ししたくなって当然です。
そこの感情をグッと抑えて、話を聞くことが多くなると、家庭は〝癒やしの場〟〝回復の場〟になります。
「愚痴や弱音なんて、誰にも言えない。家族にしか打ち明けられない」という人もいるでしょうから、やはり話を聞くことは大切にしてほしいと思います。
黄本恵子(きもと けいこ)
大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。