ロングライフホールディング社長 遠藤拓馬さん
今年1月、関西を中心に福祉介護サービス事業を展開するロングライフホールディング(大阪市)の3代目社長に就任した。「創業者である父のあと、この業界に入るとは思ってもいなかったんですよ」と柔和な表情を浮かべる。というのも遠藤拓馬さん(41)は、大学を卒業してからは大手証券会社に入社し、営業スタッフとして奔走する毎日だった。数年後には社長賞を獲得、法人営業を担当してからも、「経営者の皆さまにかわいがられ」順風満帆な証券マン人生を歩んでいた。
そんな時、創業者の父正一から「(ロングライフグループの)リゾート会社の社長をやってくれないか」とオファーがあり、父への思いも考え引き受けた。そして、今年1月からは1代目、2代目の〝カリスマ社長〟の後を継いだ。
ロングライフホールディングの始まりは、約40年前。「介護業界に革命を起こそう」とたった一台の訪問入浴車から始まり、老人ホームを開業。「私が小学校2年のときでしたが、そのときからお年寄りに囲まれて日常生活を送り、子どもなりにもお手伝いをしていました。色々大変なこともありましたが今思えば、老人介護の英才教育を受けていたんですね(笑)」とその当時を懐かしく振り返る。
そして、社長に就任して4カ月。「丸々11年間、証券会社で働いていましたが、たくさんの会社経営者と出会ったことが勉強になり、今の仕事にも生きています。さらにサラリーマン時代の経験を生かしてスタッフのモチベーションや満足度を上げ、当社施設のお客さまに人生100年時代にふさわしい高品質なサービスを提供していきたい」と意気込みを話す。
介護業界の人手不足が叫ばれるが、今年は全国から27人の新入社員が入社。また、外国人の採用にも力をいれており、介護現場ではミャンマーやベトナム国籍のスタッフが働いているが、「メンタル面がしっかりして、潜在的に年上の人を大切にする文化を持っている。そもそも〝海外で働きながら勉強している〟という視座の高さは尊敬できるものがあります。国籍が違っても最後は『人』と『人』。お客さまからも社内からもかわいがられるスタッフに成長しています」と介護人材確保への将来もにらむ。
現在は、国内の事業所を回る忙しい毎日を送っているが、仕事がオフの日は「家族が大好き。3人の子どもとはよく遊んでいます」という子煩悩な顔を持つ。
(大山勝男)