実戦の距離感も磨ける〝四角い〟サンドバッグ 自然な回転運動でフィットネス効果も

スポーツ・アパレル総合ブランド
BODY MAKER(ボディメーカー)吹田市

実戦の距離感も磨ける〝四角い〟サンドバッグ
スクエアサンドバッグでトレーニングする元K─1選手で現在RIZINで活躍する皇治さん

 格闘技・トレーニング用品の製造販売を行う「ボディメーカー」(大阪・吹田市、長渕巧社長)がこのほど、従来のサンドバックの常識を覆した「スクエア(四角い)サンドバック」を発売した。練習効率が向上する画期的なトレーニング用品として、すでに全国のボクシングジムや空手道場、スポーツクラブなどから注文が相次いでいるという。

 従来の円柱型サンドバッグはパンチ力の強化にも使えるが、選手レベルになると、スタミナトレーニングや試合前の減量としての活用がメインになる。実戦形式になると「サンドバッグを打ち込む距離では、相手に打撃が届かない」からだ。このため、選手らはトレーナーとのミット打ちや、実戦に近いスパーリングを組み合わせて腕を磨く。

 新製品の「スクエアサンドバッグ」の特徴は、その四角い形状だ。円柱型と同様にスタミナも強化できるが、従来型では得られなかった腰の回転を使った強い打撃の習得や、実戦の距離感も同時に磨けるという。

 同社の長渕翔常務は「丸を四角に変える。たったこれだけのことでトレーニング効果が2倍にも3倍にも向上した。まさにコロンブスの卵だった」と手応えを感じている。

 実はこのサンドバッグ。人間工学にも基づいた理にかなった構造をしている。元来、人間の腕や足は左右についているから当然、打撃は体の中心ではなく対角線上から繰り出される。

 この人体の構造を踏まえた上で、サンドバッグの角を正面に見ると、面は当然、左右にナナメになった状態で存在する。この面に対してパンチをクリーンヒットさせるには全身の回転運動を使った打撃が必要になり、さらに角より面が奥にあることで、踏み込みが甘いと打撃が届かない仕組みだ。

 「パンチをすればサンドバッグが回転する。角を常に正面に捉えるためにステップワークも磨ける。つまり、この動きは相手からクリーンヒットをもらわない動きにつながるんです。従来のサンドバッグでは得られなかった格闘視覚が身につく」(長渕常務)。

 WBCムエタイ世界ライト級王者など5冠を制したジャルンチャイ選手(大阪梅田・ライオンジム所属)も、このサンドバッグに魅了された一人だ。「ムエタイのひじ打ちを練習すると、円柱型では擦れてけがをすることがあったが、面であれば意図しないけがを防げる。打撃のインパクトもつかみやすくなり、より効率的に練習できるようになった」と話している。

 四角いサンドバッグは長渕常務自身のアイデアだった。「アウトドアで火起こしをしていたとき、うちわを縦にして仰ぐより、横に振る方が体の回転を使って楽に仰げたことからピンと来た。ボクシングで5階級制覇を成し遂げたフロイド・メイウェザー選手が、サンドバッグの表面を色分けしていたことも思い出し、より立体的に捉えるには四角くすればいいと気づいたんです」(長渕常務)

 コロナ禍で有観客試合が開けず、格闘技業界が厳しい状況に追い込まれた時期、「効率的にトレーニングができるこの製品で、選手らを応援しよう」と開発を決意した。

 長渕常務は「選手に限らず、フィットネス目的の需要も多い。自然に回転運動が加わるので効率的に脂肪を燃焼させられる。コロナ禍以降の格闘技やフィットネス人口を増やし、業界に貢献していきたい」と締めくくった。

 スクエアサンドバッグは現在、吊り下げ型(1万9990円)と、省スペースでも使える置き型(5万9990円)の2種類がある。大阪ではリンクス梅田など直営4店で購入できるほか、インターネットでも注文できる。