なにわ食のラブストーリー やま幸・本マグロ握り 廻転鮨 銀座おのでら大阪店

寺田料理長
寺田料理長

 「あなたが一番好きな寿司ネタは何ですか」と聞かれることが少なくない。ほとんどの老若男女からは決まって「マグロ」と返ってくる。数多いアンケート調査でも「大トロ」「中トロ」「赤身」のマグロ軍団が上位を席巻し、辛うじて「サーモン」が唯一、もぐりこんでいるといった結果が通り相場で、それほど現代人はマグロが大好きだ。

本マグロ握り
本マグロ握り

 大阪のメインロード・御堂筋に面したビル(西心斎橋)の地階に3月9日にオープンした「廻転鮨・銀座おのでら大阪店」は、誰もが愛して止まないマグロで全国的に著名な店である。

 マグロを巡る最大のイベントといえば、新春のニュースを彩る「マグロの初競り」。この風物詩で今年も〝一番マグロ〟を落としたのは、仲卸大手「やま幸」(全国の寿司や和食の名店が仕入れるマグロのカリスマと称される日本一の仲卸)に委託した寿司店「銀座おのでら」などの母体である「ONODERA GROUP」であり、これで4年連続5回目という貫禄の強さを誇った。

今年の初競りで「一番マグロ」を落札しての豊洲市場での記念ショット。左が「ONODERAフードサービスの長尾社長、真ん中は「やま幸」のカリスママグロ仲卸人、山口幸隆社長
今年の初競りで「一番マグロ」を落札しての豊洲市場での記念ショット。左が「ONODERAフードサービスの長尾社長、真ん中は「やま幸」のカリスママグロ仲卸人、山口幸隆社長

 「やま幸」が扱うマグロは生でも味が強いものにこだわり、世界的にも評価を得ているうえに、年間300日ぐらいはマグロを食べているという山口幸隆社長が1本1本を見て、店に合うものを選んでいるという。

 波の鼓動や水のせせらぎなど、海のモチーフを随所にちりばめた店舗で本物の江戸前鮨を「1貫から気軽に楽しめ、職人が目の前から握りたてを提供いたします」(長尾社長)とあって、外国人にも大受けしそうだ。

【メモ】「廻転鮨 銀座おのでら大阪店」電話050-1720-1463 大阪市中央区西心斎橋2-1-3御堂筋ダイヤモンドB1階/営業時間10:30~22:30/不定休/運営「ONODERAフードサービス」(長尾真司社長)

 握り寿司が誕生したのは、江戸時代も末期に近い文政年間。好漁場であった江戸の前の海(東京湾)でとれた新鮮な魚介類の刺身を、せっかちだった江戸っ子に合わせて、酢飯と一緒に握って、当時、単身男性の食生活を支えていた「屋台」で出した、というのが始まり。
 当時は今の倍の大きさで、2つか3つも食べれば「腹いっぱい」になるというもので、1貫が4文(140円)から8文で、コハダ、車エビ、アナゴなどのネタが好まれたが、マグロは〝下魚〟とされ、名のある店は使わなかったうえに、トロは江戸っ子の口に合わずに捨てられていたという。