“演歌Z世代”の原田波人 関西凱旋しアメ村でライブ

 「演歌第七世代」(新浜レオン、辰巳ゆうとなど)を追い上げる歌手を指し〝演歌Z世代〟と呼ばれているのが、プロデビュー3年目で今月発売の新曲「万燈籠」が早くも5枚目のCDとなる注目のホープ、原田波人(21)。このほど大阪・アメリカ村で開催された「大阪発流行歌ライブ」に初出演。同じ関西の和歌山市出身とあって「お帰りぃ」「待ってたよ~」と満員の場内から熱い声援が飛んだ。

大阪の舞台では同じ白でも少しラフな衣装で登場した原田波人

 自由に5曲が歌えるステージでは、「蜩(ひぐらし)」(1993年・長山洋子)と「私鉄沿線」(1975年・野口五郎)と、自身が生まれる前の〝昭和歌謡〟2曲をカバーして熱唱、ファンを驚かせた。

 「蜩」は中学生の時に「NHKのど自慢」和歌山大会で歌いチャンピオンになり、グランドチャンピオン大会でも歌った思い出の曲。高校生で日本クラウンの全国オーディションに合格、卒業を待って上京しプロを目指しほぼ最速時間でスポットライトを浴びている。

 この日着ていた白い衣装は自身がネット通販で韓国から取り寄せたK-POP風の物。休みで時間できるとさまざまなファッションアイテムを見にいくほどで、東京ガールズコレクションにもモデルとして出演、ランウエイを歩いた。「今は何でも挑戦する時期だと思っています」と若者らしく屈託がない。

白を基調にした原田波人の「万燈籠」のステージ衣装

 「万燈籠」は自身で選んだ初の女唄。「元々、女性演歌が好き。中高生の時のレパートリーは、川中美幸さん、石川さゆりさん、伍代夏子さん。同級生には恥ずかしいので言えなかったけど…」と照れ笑い。もっともデビュー当時は「演歌は10年禁止。当面はポップスで」と戦略を立てられ、テンポの良いJポップス調の曲でスタートした。今回ようやく念願がかない、しかもレコーディングは生バンド演奏で。つい張り切って歌い上げたら、作曲の大谷明裕から「もっと言葉を大事にして、しっとりと」と注文が付き、CDのトーンに切り替えた。「コレがやりたかったんでうれしい。ヒットさせて僕の代名詞になる曲にしたい」と夢は膨らむ。

客席に降りた原田波人にファンから次々握手のリクエストが

 この日のステージでは、コロナ禍でこれまでやったことがなかったラウンドと呼ばれる客席通路まで降りて、観客と生握手での交流を実施。終了後もCDを手売りし、サイン入り色紙を手渡しし、2ショットカメラ撮影にも応じた。「笑顔と生の温もりが伝わって来て、こちらも感激。実演の醍醐味はこうした触れ合いだと思う」と満足げ。

 長身ほそ身で特技は「折り紙」と根っからのインドア派。高校時代は放送部に所属。「だって体育祭の時に放送部なら競技参加しなくていいでしょ」と筋金入りの文化系男子。既に出身地・和歌山では和歌山放送ラジオでのレギュラー出演や単独ライブ開催も実現しているが、今年の最大目標は「地元の応援はありがたく頼もしいんですが、東京や大阪などでも単独ライブを開催できるように。いずれ和歌山を代表する出身歌手、と言われたいです」と攻めの姿勢を崩さず前を向いた。

 (畑山博史)

ステージ終了後、CDを手売りする出演歌手。原田波人(中央)は笑顔が絶えない