【外から見た日本】日本メデイアが伝えないロシアーウクライナ情勢

Spyce Media LLC 代表 岡野健将氏

 遂に始まってしまった。ロシアのウクライナ侵攻。日本のメディアでも刻一刻と戦況が伝わってきていますが、如何せん情報が限られているのでどのメディアでも似たり寄ったりの情報しかありません。

 そこで海外のメディアが伝えている情報を少しお伝えしようと思います。まずは、ウクライナのドローンが、移動中のロシアのミサイルシステムをロックオンして爆撃したニュース。ハリウッド映画で見たシーンが実際に起こっていて、それをアメリカや先進国でなくウクライナが使用していました。同ニュースでは、ウクライナの発表として既に5000人以上のロシア軍兵士が死亡、191台の戦車、29機の戦闘機とヘリコプターを破壊したとレポート。ロシアにとっては予想以上のダメージです。

 また、アメリカはここ数年毎年500億円規模の武器をウクライナに供与していたことなども伝え、ウクライナの軍備は欧米が急遽武器の支援を始める以前から相当に近代化、そして洗練されていた様子。

 次にみたニュースでは、ウクライナの市民が、ロシアが路上に置いた地雷を防護服も着ずに素手で撤去している様子。地雷を撤去することでウクライナ軍が道路を移動出来る様にしていました。3つ目は、住宅街を通ろうとするロシアの戦車の前に市民が立ちはだかり戦車を止めようとしている映像。天安門のシーンを思い出しましたが、今回は戦車は市民の前で停止し、悲劇にはなりませんでした。

 次は、ロシアの戦車がガス欠で路上に止まっている横をウクライナ語を話す人たちが車で通り過ぎていく様子。同じ状態の戦車があちこちにあると報告。ロシアの武器の性能についても触れています。的に当らないミサイルや機能しない武器がかなりあるため、未だにウクライナの制空権を制圧出来ないと。

 そして、現在ロシアから武器を購入している国々は、今後の買付け元を分散させたり独自開発の検討を提案しています。SNSは全てアメリカ発のものなので圧倒的に親ウクライナのメッセージを配信して世界の情勢に強い影響を与えていることもレポート。

 最後に1つ日本人には思いつかない視点から。BBCやアメリカのメディアなどは、ウクライナからの難民の様子を伝える際に、 〝Blue eyes and Blonde hair〟や〝Christian〟、〝Wh ite〟、〝Similar to us〟、〝Relatively Civilized and relatively European〟と言う言葉を使って難民の事を表現し、シンパシーを感じるとレポートしていました。しかしインドのメディアは、これまでアフリカや西アジア、中東から来た戦争難民の多くは国境を閉ざしたEUへの入国が出来なかった事実を引き合いに、これは白人至上主義の差別でしかない、と言い切っていました。どのニュースを選んで伝えるか。そのメディアの眼力が問われそうです。

【プロフィル】 State University of New York @Binghamton卒業。経営学専攻。ニューヨーク市でメディア業界に就職。その後現地にて起業。「世界まるみえ」や「情熱大陸」、「ブロードキャスター」、「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、Discovery ChannelやCNA等のアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。