シンガー・ソングライターで第59回日本レコード大賞(2017年)新人賞の中澤卓也(28)が、ライブ活動やラジオ出演などで関西各地を精力的に巡っている。
昨年は先輩歌手の西田あい(35)と結婚、子どもの頃から取り組んでいたカーレーサーデビューし7戦でいきなり優勝2回、準優勝1回と非凡な二刀流ぶりを発揮。今春には「コンサートツアー2024」で、神戸朝日ホール(3月23日)をはじめ、東京・ZeppDiverCity(3月10日)、出身地の新潟県長岡市・市立劇場(4月6日)が決まっており「飛躍の年に」と張り切っている。
6年前に演歌歌手としてデビューしいきなりスポットライトが当たり、その後相次いで登場した「演歌第七世代」の先輩格としてトップランナーに。しかし、思わぬ低迷期も味わってデビュー以来所属した日本クラウンを1昨年に離れ、心機一転タクミレコードへ移籍。自身の心境と重なる新曲CD「陽はまた昇る」を同年に出し、全国を地道にライブ活動で回っている。
タクミレコードの親会社タクミ商事は日本を代表する少量多品種半導体の販売会社。心強い全面バックアップを受け、昨年17公演した「コンサートツアー」ドラム・キーボード・ギターのツアーバンドと一緒に、さらに「演歌・歌謡曲ツアー」はピアノ・ギターをバックに、「弾き語りツアー」は独りでドラム・ギター・キーボードを操りと、バリエーションを変える豪華な運用。若手歌手の多くは経費の関係でほとんどがカラオケで歌うことが多い事を考えると恵まれた音楽環境にある。
「社長さんがとても音楽がお好きで、ありがたい応援をして頂いています。後は〝新人賞はフロックだった〟と言われないよう、しっかりと次のヒットを出し、今も一緒に活動する事が多い第七世代の辰巳ゆうと君ら仲間と演歌・歌謡界で切磋琢磨して行きたい」と張り切る。
大阪はかつてラジオ大阪でレギュラー番組を持っていた事からなじみの地。「演歌の大阪、というけれど確かに、お客さんがちゃんと歌を聴いてくれるイメージ。親しみがあって良い土地だけど、見る目は厳しい」と分析。
持ち味は伸びやかな高音としっかりと歌詞を届けられる滑舌の良い歌い方。自身の中では、演歌・歌謡曲、ポップス、ニューミュージックのジャンル分けはない。ステージでは自身の書き下ろしはもちろん、大先輩・五木ひろしのヒット曲カバーまで幅広く歌いこなす。「曲作りは僕のイメージをツアーバンドのギタリスト・菊池真義さんやキーボード奏者・幡宮航太さんに伝え、メロディーを先に奏でてもらい、そこから僕の詞が出てくる感じ。自分で曲を書く時もまずメロディーから入る」と説明。
「音楽とカーレースは似たところがある。ステージでマイクとの距離感は毎回異なるので少しずつ確かめながらベストな状態を探り、歌っていく。レースもその時々でタイヤやハンドルの感触は違うし、路面状態も異なる。一つ一つ克服しながら前に進むタッチが好きなんです」と目を輝かす。「歌一つとってもジャンルではなく、中澤卓也という分野を確立したい」と胸を張った。歌の世界でもアクセル全開で、突っ走る心意気と見た。
(畑山博史)