【投資家記者の勉強会】春は配当&株主優待をチェック!

 3月末は本決算を迎える企業が多いので、株式取引で「配当金」や「株主優待」の権利が確定する銘柄が一番多い月でもある。「権利付最終日」(ことしは3月29日)までにお目当ての株を買えばその権利が得られる。

 株主優待がある企業数は約1500社、上場企業の約4割といわれる。企業の狙いは自社の株式を長く保有してもらうため。保有する年数や株数によって内容をグレードアップする企業もある。人気の優待は、その企業のグループ店の「お買い物券」やギフトカード、クオカードなど。人気銘柄の一例は下図の通り。

裏ワザ 1株でもらえる株主優待もある!?

 ほとんどの銘柄は100株からだが、なんと1株だけの保有で優待をもらえる企業もある。ご存じ上新電機(8173)で、LINE証券など特定のネット証券会社での購入になるが、1株でJoshinで使える5000円分の割引券(200円割引券の25枚つづり)がもらえる(2000円の買い物ごとに1枚利用可)。地元にたくさんある店の10%割引券はありがたい。

中級編 下落を気にせず優待をもらうテク

 優待や配当だけの権利だけを取得して、株式を早めに売ろうとする場合、多くの人が同じことを考えているので、「権利落ち日」以降にドカッと下落するのはよくあること。そこで、株価下落の損失リスクを抑えて優待を受け取る「クロス取引(つなぎ売り)」という方法を紹介したい。単純には「現物買い」と「信用売り」を同時に注文する方法で、株価が上がっても下がっても変動リスクが相殺され、優待のみゲットできる(※)。

 ところで信用取引は、大きく3つのことができる。①レバレッジ(手持ち資金の約3倍の取引)ができる、②株を持っていなくても「売る」取引ができる、③1日に何回も取引可能。クロス取引で使うのは②の「空売り」取引だ。

 「買い」だと900円で買った後、1000円に値上がりすると100円の利益となる。一方、空売りは株価が下落することで儲けるしくみだ。

 手元にない株を証券会社から「借りて売る」ことができ、下落時にその株を買い戻して「返済」する差額で利益を得る。例えば、1000円で「空売り」した後、900円に値下がりしたところで「(借りた株を)返済」すれば、差額の100円の利益が得られる。信用取引とは買いでも売りでも証券会社から株を借りてトレードできるのだ。

 なお、ゲットした株主優待は、権利確定日の2~3カ月後に発送する企業が多い。3月の場合だと、5~6月あたりが目安。期末を迎える企業の多いこの時期、配当金や株主優待を調べてみては。

(※)銘柄によっては「継続保有1年以上」など条件が付いていることがある。なお、クロス取引では配当金は入らない(株主優待の権利のみ)。