なぜ円安が加速しているのか? 最近の動向をまとめてみた。
9月15日、ドル円相場は147・96円と今年一番の円安に。一時は日本銀行・植田和男総裁の「賃金上昇を伴う持続的な物価上昇に確信が持てれば、マイナス金利解除を含め、いろいろなオプションがある」「年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」という発言で、市場はマイナス金利の解除が年内か年明けかの思惑で、145円台の円高になった(11日)。
しかし、日銀内から植田総裁の「ゼロではない」発言はあくまで一般論に過ぎないとの指摘があり、円安に戻る結果に。加えて、米国が13日に発表した消費者物価指数(CPI)で、総CPIが前年比3・7%上昇となり、市場予測の3・6%も上回りインフレ懸念が再燃。同国の利上げ停止の思惑が遠のいた。
つまり、日本はまだマイナス金利(▲0・1%)で、米国は金融引き締め中の5・25%~5・50%と、2国間の〝金利差〟は開いたままなので、円安が加速している。
FXって何ですか?
2国間の〝金利差〟、つまり「通貨の強弱」で利ざやを得る売買がFXだ。
例えば、海外旅行のときの外貨両替と全く同じ考えで、ドル円相場が140円のとき、円をドルに両替して出発。帰国後に145円の円安になっていると、出発時よりも1㌦あたり5円多く戻る。
FXも構造は同じで、両替時の「為替差益」を狙った取引だ。ちなみに総合商社や海運業、自動車など、外貨を稼ぐ力の強い企業は円安が有利に働きやすい。
FXと株の違い 配当に似た仕組みも
FXは株式と同じように、売却益を得るキャピタルゲインと、配当のようにインカムゲインも狙える。
チャートは、「米ドル/円」「ユーロ/円」「ポンド/米ドル」というように2国の通貨ペアで表示される。売買する通貨の組み合わせを「/」で区切る。「米ドル/円」で表示されるFXチャートの見方は、左の米ドルを買って右の円を売ることになる。また、「米ドル/円」を売りで入ると、その逆となる。左側を「基軸通貨」、右側を「決済通貨」と呼ぶ。
FXは日本株でおなじみの日本たばこ(JT)やオリックスの配当と同じように〝保有しているだけで収益が発生〟する「スワップポイント」というものがある。株との違いはそれが毎日(平日)発生し、収益額は前述の2国間の〝金利差〟が影響する。
FXのインカムゲインを専門誌などでは「スワップ投資」とも呼び、2国間の〝金利差〟が広ければ広いほど、もらえる金額が大きい。「米ドル/円」は238円、「ユーロ/円」が184円(証券会社によって多少金額が異なる)とチャートの動きとは関係なく入ってくる。ただし、スワップポイントは買いと売りで異なるので購入前にチェックしておこう。
株と異なるポイントとして、レバレッジの比率や購入単価も異なる。株は最大3・3倍に対して、FXは最大25倍だ。ハイレバレッジ商品は損失も同じ倍率になるので注意が必要だ。しかし、資金も25分の1から取引できるので、数千円から始めることができる。株式やFXはいずれにしても「エントリーと同時に、損切り価格を決めておく」など、リスク管理が必須だ。