国内だけでなく世界からも注目された1月18日の日本銀行の金融政策決定会合。インフレ退治に欧米の中央銀行が金融引き締めを行う中、日銀は昨年12月に長期金利の変動幅を従来の0・25%から0・5%程度に変更した。このため、「今回も何かあるんじゃないか。金融緩和策を修正するのでは?」と市場の見方が強まっていたからだ。
発表された内容は、長期金利の変動幅0・5%程度と前回の修正内容と同様の〝現状維持〟となった。これを受けて、債券は買い戻され、金利が低下。日経平均株価は2万6200円台から2万6900円台へと大幅上昇。ドル円相場は大きく円安に動き、128円台から一時131円台の高値をつけた(18日時点)。
同時に日銀は今後の物価と経済の見通しを発表。
変動の激しい生鮮食品とエネルギーを除いた今年度の消費者物価指数(コアコアCPI)の見通しは、10月時点の予測のプラス1・8%から0・3ポイント上昇のプラス2・1%に引き上げられた。続いて、23年度はプラス1・8%、24年度はプラス1・6%と、インフレが今年をピークに落ち着くと予測した。
一方、国内総生産(GDP)の伸び率の見通しは、欧米経済の景気後退の影響から今年度はプラス1・9%と前回(10月)からマイナス0・1ポイント予測を引き下げた。続いて23年度はプラス1・7%、24年度はプラス1・1%としている。
昨年末に、日銀の金融政策は岸田政権の人気獲りや円安対策など、外部環境に影響されていると大手メディアは報道していた。しかし、日銀はこうした経済指標を見て、忠実に判断しているだけだと筆者は感じている。
また、今回新たに「共通担保資金供給オペ」が拡充された。ざっくり解説すると、市中(民間銀行など)に対してこれまでの2年から「10年間は低利で資金を供給しますよ」というもの。日本国債をもっと世の中の人(民間銀行など)に買いやすくさせることで、日銀が直接的な影響を与えることなく長期金利の低下を促せるのが狙いだ。「金利上昇」という思惑に対し、「金融緩和の継続」を言葉だけでなく行動で示した格好だ。
ただし、4月からは新総裁が代わるなどイベントが多く、今後もマーケットの「日銀は動くのでは」という見通しはまだまだくすぶっている。
日銀の金融政策決定会合のポイント
緩和政策は「現状維持」
→長期金利の変動幅は前回同様に0.5%程度
「共通担保資金供給オペ」の拡充
→一定の担保を裏付けに銀行などに資金を供給し、国債の購入を促す
貸付利率は「年0%」から「つど決定」にし、期間は「10年以内」に