「低気圧〝頭痛〟」 原因は、頭蓋骨の溝が硬いから

 ここ数年でよく耳にするようになった「低気圧頭痛(天気痛・気象痛)」。朝晩の気温差が大きい季節の変わり目など、天気の急な変動による気圧の変化で片頭痛が起きやすいといわれる。めまいや倦怠感など体調を崩し、病院や町の施術院に悩みを打ち明ける人が増えているという。今回、実際に多くの自律神経に悩む人の施術を担当してきた「しおかわ鍼灸整骨治療院」(大阪市旭区)の鍼灸(しんきゅう)師、柔道整復師である塩川徹院長に話を聞いた。

■頭の骨はジグソーパズル

 近年よく耳にするようになった言葉ですね。当院にもこの「低気圧頭痛」をなんとかしたいということで施術を受けに来られる方が年々増えています。

 先に結論からいうと、「頭の骨の継ぎ目の硬さ」に一因があるといえます。私たちの頭の骨(図)は、外から触ると一つの大きな丸い骨のように感じますが、実はいくつかの骨がジグソーパズルのように繋がって大きな丸い「頭蓋骨(とうがいこつ)」を形成しています。この骨の継ぎ目のことを医学的には「縫合(ほうごう)」と呼びます。この縫合部分にはアソビがあり、ほんの少しだけ動きます。だいたい5秒に一度ぐらいのペースです。私たちの頭の骨はこの縫合部分のアソビにより、実は微妙に動いているんです!

 頭蓋骨の中には硬膜(こうまく)という硬い膜で覆われた水風船のようなものがあり、その中は脳脊髄液(のうせきずいえき)という液体で満たされています。頭の構造は外側から皮膚、筋肉、頭蓋骨、硬膜によって大切な脳を守っているんです。

 硬膜のポンプの働きによって脳脊髄液から脳の老廃物を流す大切な機能があります。これを「一次呼吸」といい、生命の根本をなしているという考えがあります。ちなみに肺で行う肺呼吸は二次呼吸と言われています。

■なぜ低気圧頭痛が起こるのか?

 気圧が下がると、頭蓋骨の中にある硬膜で包まれた水風船が膨らもうとすることによって、頭蓋骨を内側から押し広げようとします。この時に「縫合」がかたく、頭の骨の動きが悪いと縫合部分に無理な力が加わってしまいます。これが「低気圧頭痛」の大きな原因の一つといえます。

骨のつなぎ目は少し動く構造になっている。硬膜が膨張しようとすると黄色のミゾの部分「縫合」に力が加わることで頭痛の原因になる

■セルフケアはどうすればいい?

 低気圧頭痛を予防するためには原因を取り除く意味でも「頭の骨の動き」を良くしていくことがとても効果的です。アプローチは2つあります。

 一つ目は頭をマッサージする。頭には1.5㎝ぐらいの前頭筋や後頭筋などの筋肉が頭蓋骨を覆っていますので、この筋肉をほぐす。美容院などで行うサービスのヘッドスパもいいかもしれません。

 もう一つが縫合にアプローチする方法。これはセルフマッサージもありますが、訓練を受けていない方が縫合の位置関係を感覚的に知ることは難しいので、具体的な方法は機会を見てブログやユーチューブで今後お知らせしていきます。

■治療院ではどんな施術を

 専門用語になりますが頭蓋骨矯正(クラニオパシー)という手技、技術があります。研鑽(けんさん)を重ねた施術者なら縫合の位置が触ってわかったり、骨の位置を矯正するなど的確にアプローチできるので、相談するのもいいでしょう。当院の場合、首回りの筋肉を緩めたり、頭蓋骨矯正を行うことで変化を実感してもらえます。それで改善しないようであれば、他の原因を探り、全身にアプローチをしていきます。

■日常で気圧差を減らせる場面もある

 最近では研究が進み、少しずつメカニズムが解明されてきました。メカニズムがわかれば効果的なアプローチ方法を考えることができます。例えば新幹線に乗る場合。トンネルを通過した時に辛くなることはありませんか?車両の前方と後方、真ん中あたりでは気圧の変化に差があるようなので、真ん中の車両あたりを選んで乗車するなど日常生活で対策できる方法は、今後様々な形で報告が上がってくるようになるでしょう。

<取材協力>塩川徹 しおかわ鍼灸接骨治療院院長。柔道整復師、鍼灸師。休診日は陸上大会や空手の大会で救護活動を行うなど、アスリートのサポートにも力を注いでいる。