職場の困り事、一人で悩まないで 自死やメンタル不調のない社会へ

職場の困り事、一人で悩まないで 自死やメンタル不調のない社会へ
▲個人だけでなく、中小零細企業のための人材育成の研修も行うミネさん。新人研修で社会人としてのコミュニケーションを指導したり、経営者や管理職に部下のメンタル管理についてレクチャーしたりしている

社会人のための実務サポート付きお仕事カウンセリング
おとな塾
(大阪市天王寺区)

 病気になったら病院に行けばいい。失業したらハローワークがある。でも、健康で働く場所もある人が、社内での人間関係がうまくいかなかったり、仕事でミスが続いたりして悩んでいる場合はどうすれば良いのだろうか。その相談先に、キャリアコンサルタントという職業がある。

 天王寺区で社会人のための実務サポート付きお仕事カウンセリングを行う「おとな塾」のミネさん。国内では数少ない1級キャリアコンサルティング技能士で、企業に赴き社会人研修や、障がい者向け研修、個人の就職支援など、仕事専門のカウンセラーとして活躍している。

 ミネさんのもとには、さまざまな悩みを抱えた人々が訪れる。ある日、事務系専門職のAさんが訪れた。聞けば「ミスが多くて会社に居づらい」という。ミネさんはAさんの話にじっくり耳を傾けながら、ある答えを導き出した。

 「この方は、とても人に気を使う。だから、一人で黙々と仕事のできる環境の方が向いている。それなのに、人の出入りが激しい職場ばかりを選んでいた。その結果ミスが生じている」

 ミネさんのアドバイス通りにしたAさんは、その後は集中して仕事に打ち込めるようになった。こうした個人の相談は3回以内に解決することが多いという。

 「本当の原因を明らかにすれば解決法が見つかり、生きやすくなる」とミネさん。そのためにも的確なアドバイスを磨くため、臨床心理士や社労士、中小企業診断士などが持つ知識や、不当解雇などの法律までくまなく勉強した。現在は健常者に加え、障がい者向けの研修にまで対応するようになった。

 自身も発達の偏りによる苦手があることを明かすミネさん。「私の場合、空間把握の力が弱く、距離感がつかめない。テーブルの上にお茶を置いていると、手で落としてしまったり、カップをテーブルのない位置に置こうとし床に落とすことがある。空間把握が弱いことを事実として受け止めたから、カップは机に置かず横の棚に置くという対策ができた。自分の発達の偏りや苦手を認識できていないと、『努力不足だ』『気が抜けてる』と苦しみますよね。それで頑張り過ぎてうつ病になることもある」と前置きした上で、「本人にどうにかしたいという気持ちがあれば、解決策は見つかります」

 学び得た知識と、2千人以上のカウンセリング経験を生かし、それぞれの人が生きやすい世界へ導くミネさん。個人の相談料は50分5千円~。低所得の人も2カ月に1度、自分のために使える金額に設定したそうだ。「この分野は行政のサポートが入っていないので、相談先がわからず、一人で悩んでいる人が多い。相談難民をなくし、自死やメンタル不調のない社会を実現したい」

 天王寺駅から徒歩6分。問い合わせ、相談の申し込みはホームページから https://otona06.com (完全予約制)