大阪樟蔭女子大(東大阪市)健康栄養学部コルクプロジェクトの女子大生が9月10日、東大阪市教育センターで開かれた敬老会(永和校区福祉委員会主催)で、創作劇〝STOP!コロナフレイル〟を上演した。今年8月に開かれた地域の夏祭り「夕べのつどい」に学生が協力したことで地域との絆ができ、今回の敬老会での催しに至った。
会場には高齢者約200人が詰め掛け、立ち見が出るほどの盛況ぶり。舞台に立つのは同学部の井尻吉信教授・廣岡咲助手と女子大生ら7人。物語はコロナで外出しなくなった高齢男性、フクイさんのもとを知人のヨシコさんが訪れ、「あんた、引きこもっていたらあかんで!」と言って連れ出し、いきいきサロンでかるたを楽しむという流れ。「外に出て 太陽浴びて ビタミンD」「筋トレは無理ない範囲で週2回」「痩(や)せたいと思ってないのに痩せてきた?」などフレイルの意味や予防法を五七五の句に乗せ、舞台を見つめる高齢者らにわかりやすく伝えていった。
ちなみに、このかるたは〝80歳で歩いて外出〟の意味から「80GO(ハチマルゴー)かるた」と呼ばれており、昨年に井尻教授のゼミ生たちが作ったもの。
フクイさん役を演じた同学部2年の原千央(ちひろ)さんは「実はなかなか予定が合わず、満足がいく練習ができなかったので不安だったが、劇中のフレイル予防のダンスのとき、高齢者のみなさんも一緒に踊ってくれ、会場が一体になったことに感動した。やって良かった」と話していた。
大学で教える傍ら、地域の医院で栄養食事指導も行う井尻教授。フレイルについてはメディアで散々取り上げられているとはいえ、「実際の現場では2割程度の高齢者にしか認知されていない」と問題意識を持っている。「コロナを恐れ過ぎ、引きこもっているのが実は高齢者にとって一番良くない。人との繋がりが失われて意欲が出なくなり、体も動かさないから食が細くなりフレイルが加速する。大学として地域の高齢者に外出のきっかけをつくり、フレイル予防について伝えていかなければならないと思っている。それが、真の意味での大学と地域の連携になると考えている」と話している。
井尻教授は10月17日、創作劇に登場したかるたを実際に楽しめる催しを地域で開催する予定だ。