
「動物」というジャンルを確立させた=1月9日、編集部撮影
大阪市内の劇場がひときわ熱い視線を集めている。世界的なフィギュアメーカー・海洋堂の歴史と魂に迫る展覧会「海洋堂フィギュア展」が扇町ミュージアムキューブ(大阪市北区)で開催されている。2月1日まで。(竹居真樹)

今回の展示は、惜しまれつつ昨年11月30日に閉館した海洋堂ホビーランド(門真市)の展示物の一部を引き継ぐ形で実現した。作品をただ並べるのではなく、一軒の模型屋から始まり、世界のホビー界を牽引するメーカーへと変貌を遂げた同社の「歴史」と「文脈」を再構成しているのが特徴だ。
企画を担当した運営担当の宮下忠也さんは、「海洋堂がどういう歩みを経て、なぜこの作品が生まれたのかが伝わるような構成を目指した」と説明した。
会場でひときわ異彩を放つのは、文化功労者に選ばれた二人のクリエイター、BOMEさんと松村しのぶさんの作品だ。 かつてホビー業界で「美少女」や「動物」は、特撮ヒーローや怪獣といった王道から外れたマイナーな存在だった。
「いつまで女の子ばっかり作ってるんや」という言葉を飲み込み、その背中を見守り続けたという同社専務のエピソードが象徴するように、同社の懐の深さが後に世界を席巻。美少女フィギュア文化や、食玩ブームを巻き起こした「チョコエッグ」の精密な動物シリーズを生み出した。
展示の目玉の一つが、極小のジオラマ作品「ヴィネット」だ。 1980年代、海洋堂の首脳陣は米国の自然史博物館を巡り、剥製を躍動的に見せる展示手法に衝撃を受けたという。その経験が数十年後、単なる人形に留まらない、背景や物語を凝縮したフィギュア表現へと結実した。
「自然と生命の奇跡、人類が築き上げた文化。それらが生み出した面白い〝モノ〟たちをフィギュアにしたい」。そんな同社の信念を表すキーワード「森羅万象」が会場の至る所に息づいている。
近年主流となったデジタル造形に対し、同展では初期の「手作業」による作品も多く展示されている。模型という枠を超え、一つの「文化」を築き上げた同社の物語を知ることができる。
夜9時まで入場可能で、仕事帰りの会社員から親子連れまで幅広い層が訪れている。 「普段劇場に来ない人にも、この熱量を感じてほしい」と宮下さん。
会場は、扇町ミュージアムキューブ CUBE02(大阪市北区南扇町6─26)。入場料は大人1000円、高校生以下・障がい者800円、小学生以下無料。

