円安に加え、日米ともに株安になっている(18日現在)。 現在の「円安や株安の原因は何なのか?」を調べてみた。
為替相場というのは2国間の通貨の強弱を表すもので、現在のドル高円安は2国間の〝金利差〟が大きな原因だ。
米国は2022年3月から段階的に行っている金融引き締めの効果で順調にインフレを抑えてきた。しかし、8月に入ってから物価関連の経済指標が下げ止まり、同時にインフレの元凶ともいえる原油価格も1バレル80ドル台に戻しているので、市場では「インフレ再燃」懸念があるという。
これが一時的なものなのかはわからないが、16日に公開した7月分の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では大半の参加者が「インフレに著しい上振れリスクがあり、金融政策の追加引き締めが必要になるかもしれない」という認識であることが記されていた。この内容に市場は反応し、米国代表指数(S&P500)は週足、月足レベルで直近安値を割り、下降トレンド入りを示唆している。
一方、日本はというと先月28日にあった日銀の会合で長短金利操作(YCC=イールドカーブコントロール)の修正があったものの、以前として金融緩和を継続する形となっている。
ざっくりまとめると、米国は市中のお金の量を減らす「金融引き締め」を継続しており、まだこの先も引き締めがあるかもしれないという観測。一方、日本はお金の量を増やす「金融緩和」継続のスタンスをとっている。ドルは市中のお金の量が減るので通貨価値が上がりドル高、円は緩和でお金の量が増えるので、通貨価値が下がって円安という構図だ。この2国間の政策金利の違いが、今のドル高円安を招いている。
ただし、日本の「金融緩和」継続のスタンスについては、前回の会合で「物価の想定外の上振れ」の可能性も示唆しているので、日本も今後、想定を超えるインフレ局面になると政策変更の可能性があるかもしれない。米国と同様にあくまで経済指標のデータ次第だろう。
また、過度な円安を抑えるために日銀の為替介入という噂もあるが、昨年9月にあった介入直後の相場を鑑みても、筆者は焼石に水だと思っている。
現在の円はドルだけでなく、ユーロやポンド、スイスフランなどほかの先進国通貨と比べても円安だ。世界の主要国で金融緩和を行っているのは、日本と中国だ。
米国の株安の原因は、前述のとおり物価高騰再燃の懸念から金利が上がるので、株価が下がる。米国10年債利回りは昨年10月ぶりの高値を更新。これに反応してグロース株を中心に売られている。また、話題となっているAIの「ベビーバブル」が早くも終焉するのではないかという話もあり、23日にある米大手半導体メーカー、エヌビディアの決算に注目が集まっている。
日本は6月中旬を天井に米S&P500同様、週足、月足レベルで直近安値を割り、下降トレンドだ。皮肉なことに最近の日経の株高理由の一つに円安がある。しかし、8月に入ってからは米株安の影響を受けて売りが先行。最近では中国恒大集団の破産申請をきっかけとした中国不動産バブル崩壊懸念も重荷になった。実際、4~6月期のGDP(国内総生産)年率6・0%増の内訳は「輸出」が突出している。同国の景気悪化はそのままインバウンド関連銘柄を弱気にさせている。
日経(NI225)のチャートを見ると、3万800円~3万500円の間を下抜けると、3万円台を割る展開も考えられなくもない。米S&P500(SPX)は、週足安値の4300㌦辺りを下回るか押し目となるかがポイントとなってくる。