パーソナルスタジオ Hearts227(大阪・中津)

「パーソナルトレーニング」と聞けば、ストイックに体を鍛え上げて、筋肉、スタミナ、折れない心を養う――。そんなイメージを抱く人も少なくないだろう。ところが、大阪・中津のパーソナルスタジオ「Hearts227」を主宰する戸村トレーナーが大切にしているのは、体を追い込むことではない。「鍛える」から一歩進んだ「整える」という発想。その原点に、ケガと挫折に苦しんだ、自身のプロボクサー人生がある。
頂点に立つことを目標に入門したボクシングジム。大事な試合を2日後に控えた20歳のある日、ダンプカーとの接触事故に遭った。治るはずもなかったが「チャンスを逃したくない」と試合に臨んだ。無理を押したことが、その後の体に重くのしかかる。首や目などの不調は改善の兆しが見えず、「チャンピオンの夢」ばかりか視力さえ失いかねない状況に。それでも回復に繋がりそうなことは手当たり次第に試しながら、練習と試合を続け、ボクサーの定年とされる37歳までリングを降りなかった。
「諦めが悪いんですよ」と明るく話す戸村さん。暗中模索の日々の中で出会ったのが、加圧トレーニングや気功だった。さまざまな考え方や技術を学び、自らの体に活かす中で、血流や気を「整える」手法に可能性を見いだしていく。ボクシングの傍らで従事した介護職では、加齢による体の衰えや、不調を抱える人たちに数多く出会った。人の体は年齢を重ねても、巡りを「整える」ことで変化するという手応えを得た。引退後、その経験を生かして始めたのがパーソナルトレーニングだ。
2011年の設立以来、戸村さん自らが一人ひとりに伴走するスタイルを貫く。現在は、最新機材を用いた加圧トレーニング、波動整体、丹田コンディショニングを組み合わせた「三位一体メソッド」を軸に、心身を整える指導を行う。
「年齢や長年の不調を理由に、人生を諦めないでほしい」。かつて自身が体の限界に直面したからこそ、その言葉には実感がこもる。鍛えて強くするだけが、体との向き合い方ではない。自らの体を知り、本来の働きを取り戻すことで「いくつになってもやりたいことが楽しめる」人生を謳歌してほしい−−そんな願いを込めて、戸村さんは一人一人の心身に寄り添い続けている。(西村由起子)
