
ネット情報の盗み出しが止まらない。フランスではスーパーの冷凍・冷蔵設備が遠隔操作で乗っ取られ、庫内の温度が50~80度に上昇。生鮮食品や冷凍食品を大量に廃棄する被害を受けた。
日本でもサーバーへの不正アクセスが急増し、個人情報の流出を伝える報道が連日のように相次いでいる。ヤマト運輸では「クロネコ代金後払いサービス」への不正アクセスで、約531万件の顧客個人情報が漏えい。旅行サイト「スカイチケット」では約1464万件の顧客情報が流出、うち約413万件にはパスワード(PW)が含まれ、さらにクレジットカード情報6140人分の流出も判明した。
AI(人工知能)の進化で一気に増えたサイバー犯罪。防ごうと思っても企業や団体、専門家にもっと知恵を絞ってもらわなければ利用者側は無力だ。私たち生活者が「すぐ取るべき対策は何か?」をまとめてみた。

AIデジタル化で〝情報丸裸〟社会 不都合な「便利になればリスク増す」真実

クレカとPWの防衛策
スマホやタブレットで日頃からネットを楽しむ限り「私の登録サイトは被害に遭っていないから関係ない」という思い込みは禁物だ。AIの発達でネット空間は限りなく結び付きが強くなった。一度登録した名前や生年月日、住所、メルアド、クレカなどの〝個人情報〟は「いずれどこからか流出する危険性がある」と覚悟し、自己責任で事前対策を立てることが大切だ。
最初にクレカやネットバンキング。これはお金に直結しているので一番危険。
「PWの使い回し」をやめる
「パスワード(PW)がバラバラでは覚えきれない」という声は多い。今のスマホには「PW自動作成」という機能があり、すぐ利用できる方はよいが「設定が面倒」「忘れた時に不安」という人も多数。そこで機械に頼らず今すぐできる「PW手書きノート」の作成をお勧めする。一番安全で確実なのは「自分だけのルールで作ったPWを、ノートに手書きメモすること」だ。ネット上の悪人が、アナログのノートを盗み見ることは不可能。流出リスクは「ネット保存されたデータ」に限られる。
すべてのサイトで同じPWにするのは危険。そこで「共通の言葉(自分のニックネーム等)」+「特別な言葉(サイト名を意味するローマ字を2~3文字加える等)」の〝特別ルール〟を決める。万が一1つのサイトからPWが漏れても、他サイトのPWをすぐには割り出されない。
「二段階認証」を利用
難しそうな名前だが、仕組みはシンプルな「折り返しメール」だ。PCやスマホでサイトにログインする際、登録済みの端末へ「4桁や6桁の数字(暗証番号)」が書かれたメールやショートメッセージ(SMS)が届く。「今ログインしようとしているのは本当にあなたですか?」という確認電報のようなものだ。もし自分が操作していないのに突然「数字の電報」が届いたら、「悪人がメルアドを知り、PWを突破して侵入しようとしている」証拠。数字を入力しなければ、悪人はそれ以上進めない。ただしそこで安心せず、そのサイトへの不正アクセス報告を忘れずに。

クレカの利用明細を見る
悪人は盗み出したクレカ番号で大型決済を行う前に、少額決済で「使えるか」を試す。額は小さくても要注意。特に海外渡航歴がないのに海外からの利用があれば疑ってほしい。毎月の利用明細は必ず確認しよう。
もし不正利用が見つかったら速やかに被害連絡を。「セキュリティコードが漏れていないから」と安心はできない。海外サイトではコード不要で決済できる場合もある。
また、スマホの「カード利用通知サービス」を利用し、日常的なチェックを忘れずに。「地味で基本的な対策の徹底」が最大の防御だ。この3点に注意すれば、仮にクレカ情報が漏れていても被害に遭う危険性は劇的に抑えられる。
AIで詐欺は超高精度化
その他のリスクを考えてみよう。悪人は流出した「名前・メルアド・利用履歴」をAIに入力し、個人に〝最適化〟した偽の被害確認メールやSMSを自動生成する。例えば「×月×日に○○市の△△ホテルでのお忘れ物」といった、時期も内容も一致する偽メールが届く危険性がある。本物そっくりで、クレカ情報を入力させられたり、不正アプリをインストールさせられたりしかねない。「えっ?」と思ったら慌ててアクセスせず、メールの記載番号ではなく公式サイトの代表番号に電話して真偽を確かめる。
怪しい電話攻勢に警戒
闇名簿に基づくしつこい勧誘や、「強盗・空き巣」の標的リスト入り、遠方の警察をかたり「住所や名前を把握した上」で捜査を装うLINE誘導などのリスクがある。常に警戒が必要だ。
安全なスマホ利用術
ここからは日頃から気をつけるべきスマホとの付き合い方。
■不要なアプリ削除
「週に1度以上開くもの(銀行、携帯会社、買い物サイト、LINE、カメラ、天気予報など)」は残す。逆に「数カ月開いていない、1回きりの目的で入れた、なぜあるのか思い出せないもの」は消す。
使わないアプリを消す理由は3つ。A「情報流出のリスク」を減らすため。B「スマホへの侵入経路」を与えないため。古いアプリを放置するとシステム上の弱点を悪人に狙われる。C「バッテリー長持ち・動きを軽くする」ため。
■アンケートで個人情報を求められたらNO
公式サイトでも細かく個人情報を求めてくる場合は答えない方が賢明。偽サイトと本物の見分けは専門家でも難しい。フィッシング詐欺のリスクを広げないこと。
■「+1」などの不審電話は「国際電話悪用」詐欺の危険性
海外から電話が掛かる可能性が少ないなら「+1」からの着信に出てはいけない。出ただけで「現在使われており、見知らぬ番号にも応答する人」と認識される。AIの自動音声で「未払い料金があります。2番を押してください」と案内され、警察などをかたる犯人につながりお金をだまし取られるケースや、折り返し電話で高額な国際通話料金が掛かるケースもある。無視するか即座に切る。
デジタルなんて怖くない
スマホの普及で飛躍的に便利になった一方、AIの発達はシステムに侵入するハッキング技術も押し進めた。つまり「便利になれば、同じだけのリスクも増す」というのが現代のデジタル社会の不都合な真実。
メリットの裏にあるデメリットをしっかり理解すれば怖がる必要はない。AIを積極的に活用し、世代を超えてコミュニケーションを取りながら、デジタル世界を安全で便利に楽しもう。
