空き家税時代へ 地域事業者に求められる新たな役割

 全国で初めて市全域を対象とした「空き家流通促進税(空き家税)」条例が寝屋川市議会で可決された(関連記事)。制度は総務大臣の同意などを経て、2029年ごろの導入が見込まれている。広瀬市長の狙いは空き家を市場へ流通させ、次の住み手へつなぐことだ。影響を受けるのは空き家の所有者だけではない。管理や相続、不動産流通、建築など、住まいに関わる事業者にも新たな役割が求められている。空き家対策の現場で活動する二人に話を聞いた。(濱田康二郎)

管理、権利調整、再生――住まいを次世代へつなぐ伴走支援も

左から金本巨士(なおと)社長山下裕二代表理事

「管理する」という選択肢を支える

 香川県で建設会社を営み、20年前から空き家管理サービスを始めた「空き家界の第一人者」一般社団法人空き家管理士協会の山下裕二代表理事に聞いた。

 ―条例可決の受け止めは?

 京都市と神戸市の空き家
対策を超える、市全域対象となる寝屋川空き家税のインパクトはとても大きい。今後全国の自治体に影響を及ぼすと思います。これまで空き家は「そのうち考えよう」と先送りされることが少なくありませんでした。しかし制度が始まれば、管理するのか、売るのか、貸すのかといった判断を迫られる人の数が増えます。必ず影響は出てくるでしょう。今後は「空き家」をどう判定するのか、定義の整理が重要な論点になりそうです。

 ―協会にはどんな相談が?

 私たちは定期的に巡回し、建物の状況を確認するサービスを全国に展開しています。近年の相談の約7割は、親が介護施設へ入所した後の実家管理に関するもの。そのうち7割は娘さんからの相談です。

 ―ニュースの影響は?

 以前の空き家対策特措法の改正の時はホームページへの問い合わせが通常の1.5倍に急増しました。市民の関心の高まりを感じています。今後は私たちのような空き家管理のビジネスと介護職、ケアマネジャーや地域包括との切れ目のないネットワークづくりが活性化するでしょう。

動かない理由は「建物」ではなく「人」

 一方、大阪市内で相続によって共有名義となった不動産の権利調整などに携わる「はればれ商店」の金本巨士(なおと)社長には、ベッドタウンからの「家じまい」の相談が舞い込むという。

 ―どんな相談が多い?

 最近は「子どもに負担を残したくない」と、自身が元気なうちの相続対策相談がほとんど。一方で、相続人同士の意見がまとまらない、共有名義になっている、解体費用が負担になるなど、さまざまな理由で話が進まないケースの相談も一定数あります。

 ―どう対応を?

 兄弟同士で話がまとまらない場合に、第三者が間に入ることで簡単に解決に向かう事例は多いんです。家族それぞれの思いや権利関係を整理した上で、本音を話してもらう関係性を構築することが重要ですね。

 ―どんな解決がある?

 まずは建物の状態を見極め、活用方法を考えていきます。古い建物でも、補強やリフォームによって賃貸住宅として再生できるケースは少なくありません。必要としている人につなぐことも、不動産に携わる者の役割だと考えています。
 空き家税の導入によって、所有者には住まいの将来を考える機会が増えることが予想される。その一方で、管理や権利調整、建物の再生など、専門的な支援を必要とする場面も増えていくとみられる。
 空き家問題は、一つの事業者だけで解決できるものではない。管理会社、不動産事業者、司法書士、建築事業者、介護、医療のほか、暮らしを支えるサービスなど、それぞれの専門性を生かして連携し、所有者を支える体制づくりが重要になりそうだ。

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