不登校児童へ新たな居場所 学校と企業で作る学びの空間

 教室に入りづらい子どもたちが安心して過ごせる空間「SSR」が、大阪市の西船場小に完成した。地元企業や地域と連携し、その日の気持ちに合わせて過ごし方を柔軟に選べる、新たな学びの場となっている。

イメージ(写真AC)

教室に入りづらい子に「もう一つの居場所」 西船場小×平安伸銅
地域でつくる学びの空間

 全国の小中学校で不登校の児童生徒が約35万人と過去最多を記録する中、学校の中に安心して過ごせる「居場所」をどうつくるかが課題となっている。大阪市西区の西船場小では、教室に入ることに不安や抵抗を感じる児童のため、収納用品メーカーの平安伸銅工業(同区)が高校生、地域住民らと連携し、2025年10月から校内教育支援センター(SSR)の環境づくりに取り組んだ。企業が完成品を一方的に提供するのではなく、不登校を経験した高校生らの声を設計に反映し、地域ぐるみで児童が安心して過ごせる空間にしたのが特徴だ。(竹居真樹)

 SSRは、通常の教室で過ごすことに心理的な抵抗がある児童や、不登校傾向にある児童などが、校内で安心して過ごしたり学んだりするための場。同小でも昨年度から「にじ」の名称で設置し、限られた予算の中、他教室で余った机や棚なども活用しながら環境を整えてきた。
 以前から環境学習などで交流のあった同社が「今ある教室を生かしながら、自分たちの技術で過ごしやすい空間にできるのでは」と学校側に提案。工事を伴わず、後付けで空間を変えられる同社の製品やDIYのノウハウを生かし、教室づくりが動き出した。
 重視したのは、利用する児童に近い目線。不登校を経験した通信制高校の生徒らも企画に加わり、「静かに一人でいたい」「仲間と過ごしたい」「勉強に集中したい」など、自らの経験をもとに、その日の気持ちに応じて過ごし方を選べるよう、空間を「ちょっとだけ教室」「一人でもくもく学習」「リラックス個室」「みんなでワイワイ」といったゾーンに分けた。
 大人側が意外だったのは、黒板や昔ながらの学校机に対する高校生の反応だった。一般の教室を思い起こさせるものが、かえって入りづらさにつながる場合があるという。そこで黒板をホワイトボード化するなど、何度も意見を聞きながら設計を修正した。
 活動には地域も参加。必要な費用はクラウドファンディングで募り、目標の60万円を上回る支援が集まった。近くの住民や企業から「地域の子どもたちのために協力したい」とDIY作業に加わる姿も見られた。
 同社の竹内香予子代表は「大人の善意だけで『こうすれば喜ぶだろう』と決めるのではなく、当事者の声を聞いたことが一番大きかった」と振り返る。
 完成後、「にじ」は児童の日常に溶け込み始めている。同小の石井宏享校長は「利用する児童は自分のペースでさまざまな活動をしている。教育は『人』であり『心』。登校だけを目的とせず、子どもの心に寄り添う場として『にじ』の価値は非常に高い」と話していた。

コンセプトは「気持ちに合わせて過ごし方を柔軟に選べる教室」
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