7月24日にわずか2票差で成立した副首都法。成立から約半月が経過し、議論は制度の具体的な運用段階に入った。東京一極集中の是正を掲げるが、拠点整備に数百億円規模の費用が見込まれるなど課題は山積している。制度の要件と残された懸念点を整理し、その実効性を問う。

理念と現実の狭間で 指定要件と財源の明確化急務
副首都法は大規模災害時に首都機能を代替する都市を定める。指定要件には「一定の人口や経済規模」「東京23区のような特別区の設置」が規定された。推進派の自民党や日本維新の会は、東京一極集中の是正と多極分散、国家危機に備える有事のバックアップ機能の必要性を強調する。
しかし、具体性を欠く制度設計への懸念は根強い。第一にコストだ。災害対策拠点の整備だけで数十億から数百億円が見込まれるとの試算がある一方、全体的な財源の見通しは示されていない。
第二に災害想定の偏りである。首都直下地震などを想定し東京との同時被災リスクが低いことを要件とする一方、大阪など広域に被害をもたらす南海トラフ巨大地震への考慮が不十分との指摘がある。
さらに、法成立の過程も火種となっている。参院本会議では立憲民主党など野党が結束して反対する中、与党外会派「チームみらい」などの賛成により123対121の2票差で可決された。
また、特別区設置の住民投票と統一地方選の「同日実施」を避けるよう求める参院付帯決議に対し、維新側が同日選に意欲を示し反発を招いている。実効性あるリスク分散には、客観的なコスト開示と冷徹な災害評価、そして国民の納得を得る丁寧な議論が不可欠となる。

吉村知事、都構想で運営 副首都指定は連携協約で先行
大阪府の吉村洋文知事は7月27日、24日に成立した副首都構想関連法を巡り、今後の方針を示した。まず大阪府と大阪市による「連携協約」を結んで先に副首都の指定を受け、その後、大阪市を廃止して特別区に再編する大阪都構想で実際の運営を担う考えだ。
指定の正式な要件は今秋、政令で固まる見通しで、法定協議会での議論を経て申請時期を判断する。特別区の区割りを巡っては、これまでの4区・8区・24区案に加え「7区案」が浮上しており、大阪市域選出議員の意見集約を急ぐ。
一方、来春の住民投票と統一地方選の同日実施方針を巡っては、選挙期間が重ならないよう配慮するとした付帯決議に反するとの批判も出ているが、吉村氏は「同日選を目指す考えに変わりはない」と強調した。
