万博の次はハリウッド構想 大阪に映画制作の拠点を整備 X-MENプロデューサーも協力

 映画やアニメ、漫画など、日本が誇るコンテンツを大阪から世界へ――。大阪観光局は7月29日の定例記者会見で、大阪に撮影スタジオを整備し、国際的な映像産業の集積地を目指す「大阪ハリウッド化計画」を発表した。映画「X―MEN」や「トランスフォーマー」を手がけた米ハリウッドの映画プロデューサー、トム・デサント氏も計画に協力する意向を示し、大阪を世界有数のエンターテインメント都市へ成長させる構想が動き始めた。(佛崎一成)

大阪観光局の記者会見に登場したデサント氏(左)と溝畑理事長=7月29日、大阪市中央区

廃校を撮影スタジオに

 計画を進めるのは、アクション作品や特撮の制作に携わるB.O.Sエンターテイメント。府内にある廃校など使われていない施設を使い、映画やドラマの撮影スタジオを整備するほか、俳優やアクションスタッフ、脚本家、撮影・美術スタッフらを育成する拠点づくりを目指すという。

 東京に出なければ映像業界で働くことが難しい現状を変え、大阪の若者が地元で技術を学び、世界へ向けた作品づくりに参加できる環境をつくるのがねらいだ。将来的には大阪独自のキャラクターや作品を生み出し、映画や配信作品として海外へ展開することも視野に入れている。

 高槻市出身でB.O.Sエンターテイメントの岩上弘数社長は「東京だけでなく、大阪からでも世界に発信する作品は作れる。若い人が東京へ出なくても、大阪で働きながら作品づくりに関われる場所を実現したい」と意欲を語った。

 同計画を進めるにあたり、大阪観光局のエグゼクティブアドバイザーの阪本晋治さんが尽力し、今回の会見を実現した。大阪観光局自身は施設を直接整備するのではなく、行政や企業との調整、情報発信、規制緩和などを通じて計画を後押ししていく立場となる。

 溝畑宏理事長は「大阪には質の高い雇用をつくらなければならない。一流の人材を育て、一流の作品を生み出す環境づくりを全面的に支援したい」と話した。

「大阪はロサンゼルスに似ている」

 映画「X─MEN」や「トランスフォーマー」を生み出し、 手掛けた映画の世界興行収入は1兆円弱にのぼるデサント氏も、同計画を応援する意向を示した。デサント氏は、かつて映画産業が十分に育っていなかったカナダ・トロントを例に挙げ、行政の支援や撮影環境の整備によって、世界的な制作拠点へ成長したことを紹介。「映画制作は俳優や監督だけでなく、大道具、塗装、衣装、飲食、宿泊など幅広い仕事を生み、地域経済全体に波及する」とアドバイスした。

 デサント氏はさらに「大阪にはロサンゼルスに似たエネルギーがある。都市でありながら自然や水に恵まれ、人々にはユーモアと温かさがある。日本のエンターテインメントの拠点になれるはずだ」と期待を寄せた。

 続けて、日本の漫画やアニメについて「かつて評価されていなかったマーブル作品や、長く映像化されていなかったトランスフォーマーと同じように、世界へ広がる大きな可能性がある」と強調。海外で実写化する際、ストーリーやキャラクター設定が大きく変更されるなどして、原作ファンの支持を失ってしまったケースがあることにふれ、「原作や原作者、ファンへの敬意を大切にし、日本作品の実写映画化や海外展開を進めたい」と考えを示した。

記念撮影する溝畑理事長とデサント氏、アイピー・ベイのメンバーら=7月29日、大阪市中央区

場所や予算はこれから

 計画では3年後をめどに拠点整備を目指すとしているが、現時点で具体的な場所や事業費、海外スタジオとの提携は決まっていない。候補地の選定や資金調達、制作会社の誘致などはこれから本格化するという。

 万博後の大阪では、2030年秋ごろに夢洲でIR開業が控えている。観光だけでなく、映画や映像作品を生み出す産業そのものを育てられるか。大阪を〝見る街〟から、世界が注目する物語を〝つくる街〟へ変える挑戦が始まった。

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