「不登校」が年々増加していると引き続き話題になっている。各小中学校での受け入れ体制も昔と比べると進みつつあり、状況は徐々に改善されているが、実際にわが子に起きた際、適切な対応が分からないと感じる保護者は依然として多い。特に不安の声が大きいのが「進路」だ。「ちゃんと高校・大学へ進学して、自立していけるだろうか」といった将来への懸念は根強い。
今回は、中学のお子さんがどういった進路選択ができるかについて、それぞれの専門家に話を聞いた。
進路を考えられるような心の状態を整える
【話を聞いた人①】不登校の小中学生(小学4年生〜中学3年生)向けオンラインフリースクール「シンガク」教室長 村上実優さん
Q. 不登校の子どもが将来を考えるにおいて、まず必要なことは?
A. まず大切なのは、お子さん本人が進路を考えられるような心の状態になることです。不登校の子どもは目の前のことで精いっぱいになり、将来のことまで考えにくい傾向にあります。心のエネルギーの状態には段階があり、「不登校前兆期、初期、中期、後期、復帰期」と移り変わります。安心する環境に身を置くことで徐々に自分の感情を理解し、最終的に自分の将来を自分で選べるような状態にすることが大切だと感じます。
Q. 具体的にどういう流れで進路決定をしていくと良いか?
A. 最終的には所属の学校で進路を決定しますが、進路を決めるサポートはフリースクールなどの専門機関でも行えます。例えば本校では1対1の面談を毎週行っていて、その中で心の状態や進路への理解度に応じて進路について少しずつ考えてもらう機会を作っています。また、学習の進捗(しんちょく)や面談の内容を学校と連携することで進路指導にズレが生じないようにしています。

また、学校を選ぶ基準も人それぞれで、どれが自分にとって大事な要素かを知る必要があります。例えば不登校のお子さんの中には制服に強い抵抗感がある子や、朝が苦手な子が一定数います。それぞれに優先順位を明確にし、自分に合った学校を探していくといいでしょう。
Q. 子どもに不登校の兆候が見られたとき、保護者はまずどう対処すればいい?
A. 専門機関につながることをおすすめします。現在は受け入れ先となる学校や支援機関が増え、情報が多様化しています。その分、何を選べばいいか分かりにくくなっているのが実情です。例えば本校では不登校に関する情報を発信するポータルサイトを運営しています。学校ごとの違いが分かるよう、第三者視点での情報提供を参考にしてみてください。
■ オンラインフリースクール「シンガク」(https://www.shingaku-fs.jp/)
学習に不安があっても学び直しを支える高校がある
【話を聞いた人②】 大阪府教育庁 高等学校課・高校改革課
Check!▶「エンパワメントスクール」「ステップスクール」って?
【エンパワメントスクール】大阪府が設置する全日制の府立高校。中学校までの学習につまずきがある生徒や不登校を経験した生徒等に、基礎学力習得のための学び直しと「考える力」・「生き抜く力」を育む教育を行う。30分のモジュール授業や習熟度別授業、ICTの活用により「わかる・できる」授業を展開。独自の「エンパワメントタイム」や充実したキャリア教育を通じて、生徒一人一人の可能性を引き出す。
【ステップスクール】少人数学級の実現や充実した体験型学習など従来の手法等に捉われない教育活動を行う。スクールカウンセラーの常駐化など、専門人材等による支援体制の充実や、地域と連携した体験型授業や職業体験の実施など、机に向かう勉強以外の「体験」を重視する。
Q. エンパワメントスクールとステップスクールの入試の内容は?
A. エンパワメントスクールは、調査書、5教科(国語、数学、英語、理科、社会)の学力検査の成績、面接及び自己申告書の評価をもとに、選抜が行われます。
ステップスクールは、調査書、3教科(国語、数学、英語)の学力検査の成績、面接の評価をもとに、選抜が行われます。面接は対面か筆答のどちらかを選択できます。
ともに、「ここで学びたい」という意欲を重視するために面接を重視しています。

Q. 学校の情報はどう調べたらいい?
A. 毎年7月に、大阪府立高校全校が集まる合同説明会をインテックス大阪で行っています。他にも、学校選びのための「大阪府公立高等学校・支援学校検索サイトERABO(エラボ)」を参考にしてみてください。
府立高校は横並びのイメージがあるかもしれませんが、実は学校ごとにいろんな特徴があり、特にエンパワメントスクールとステップスクールは独自性の高い教育を行っています。
Q. 進路先を選ぶ際のアドバイスは?
A. 勉強が苦手、出席ができなくてテストが受けられない、朝起きられない、集団行動が不得意など、「不登校」といっても、困り事や特性、その度合いは人それぞれ。「自分の困りごとがどう解決すれば学校に通えそうか」を整理し、それを基準に選ぶことが大切です。
エンパワメントスクール・ステップスクールは、府立高校の中でも「学習についていけない」という課題になるべく寄り添うことを重視しています。選択肢の一つとして知っておいてほしいですね。
■ERABO(エラボ) | 大阪府公立高等学校・支援学校検索サイト(https://www.schoolnavi.osaka-c.ed.jp)
通信制高校といってもさまざま 「肌に合う」学校選びを
【話を聞いた人③】 大阪私立中学校高等学校連合会 大阪通信制高校グループ会長 神須学園高等学校 藤田弘校長
Q. 「通信制高校」を選ぶメリットは?
A. 中学校の成績があまり重要視されない点です。通信制高校の入試は、中学校での出席状況がわかる調査書を入試で参照することはほとんどありません。
また、自分のペースに合わせて無理なく通える点もメリットです。全日制高校に進学したものの、週5日の通学が合わず通信制高校へ入り直した、というケースはよく聞きます。通信制高校は、週5日未満の登校日数であったり、昼から授業がスタートしたりと全日制高校より条件が柔軟です。「まず高校を卒業する」という目標を達成するために、無理のないスケジュールを組むことができます。
Q. 学校選びのポイントは?
A. 多くの人が重視するのは「通いやすさ」、特に距離です。本校でも近隣エリアから通う生徒が多いです。電車での通学が苦手な子どもや、保護者が送迎するケースも見られます。まず近隣にどんな学校があるか調べてみるといいでしょう。一方、「元の関係から離れたい」という理由から、中には遠方から通うケースもあります。近隣だとしても、知っている人が少ない学校を選ぶ傾向が多いですね。
また「学校が自分の肌に合うか」も重要です。同じ通信制高校でも、「きっちりさ」を大事にする学校と「自由にのびのび」を大事にする学校とで雰囲気が大きく異なります。部活動や課外活動に力を入れていたり、学び直しに力を入れていたりと特徴もそれぞれです。
Q. 受験準備の一歩目は?
A. まずは実際にいろんな学校へ足を運んで体感するといいでしょう。可能であれば事前相談にも参加してみてください。例えば、本校では体験会に来たことを入試の条件にしています。本人の困り感を先に聞いておくことで、入学後のサポートができるように体制を整える、という理由です。
通信制高校の合同説明会も実施していますので、情報収集のためにそちらも足を運んでみてください。

■神須学園高等学校/大阪府岸和田市野田町1-7-12/072(493)3977
