「泣いて笑って言いたいこと全部」これがほんまの家族葬 湯灌(ゆかん)で向き合う最期の時間

【葬儀の現場から】エンディングライフサポート葬祭

 高齢化が進む中、人生の最期をどう迎えるかを考える〝終活〟への関心が高まっている。葬儀の事前相談などを手がけるエンディングライフサポートは、大阪府南部で行われた家族葬の事例を紹介し、現場の実態と事前準備の重要性を伝えている。

 事例は85歳男性。家庭内にさまざまな事情を抱え、子どもとも頻繁に会う関係ではなかった。生前、同社に相談し、「火葬だけでいい」と希望を伝えていたという。

 2025年末ごろに体調を崩して入院し、その後死去。遺族が自宅を整理する中で、同社の連絡先が書かれたメモが見つかり、連絡につながった。「連絡先がメモに残っていたからこそ、迷わずに済んだ」と振り返る。

 故人の希望は「何もいらない、火葬だけでいい」というものだったが、長男と長女は「やっぱりちゃんと別れたい」と希望。最終的に、家族だけで見送る形を選んだ。

 葬儀では、遺体を洗い清めて身支度を整える〝湯灌(ゆかん)〟を実施。参列したのは、息子、娘、その家族や孫ら。限られた空間の中で、遠慮のない時間が流れた。

 遺族はその様子を「泣いて笑って、言いたいこと言って」と表現。「全部出し切れた。これが家族葬なんやと思った」と話す。複雑な家庭事情もあり、「家族以外には入ってほしくなかった」という思いもあった。

 費用面では、故人が「火葬だけなら30万円くらい」と話していたが、それ以上の準備もしていたため、無理のない範囲で実施。同社は「必要以上のものは勧めない」とし、内容を絞った提案を行った。

 葬儀後、遺族からは「自分たちの時もお願いしたい」との声が上がった。形式にとらわれず、納得のいく見送りができたことが背景にある。

 同社は今回の事例を踏まえ、「書き留めておくことが大事」と指摘。親子関係に距離があっても、最期の意思が残されていれば、遺族は迷わず動ける。

 また、インターネット上での葬儀社選びにも注意を促す。小規模や低価格をうたう情報が増える一方、実際には内容が見えにくく、結果的に費用が膨らむケースもあるという。

 担当者は「故人は何もしなくていいと思っていても、残された家族はやってあげたいと思う。その気持ちに応える形をどうつくるかが大切」と話す。家族だけで送り出す時間は、悲しみを整理し、次に進むための区切りにもなっている。

<取材協力>エンディングライフサポート葬祭/大阪市阿倍野区阿倍野筋5丁目13−10/電話(0120)805787
https://endinglifesupport.com/

タイトルとURLをコピーしました