肥後橋と本町に店舗がある大衆居酒屋「四国酒場」が名称を「四国の酒場」に変更し、メニューとコンセプトをブラッシュアップして、10月22日からリニューアルオープンする。
これに合わせて両店舗でドリンク割引のお得なリニューアルキャンペーンも実施。
これまで広く四国全域から素材を調達して料理を提供していたものを、「広く」から「深く」にコンセプトをリニューアルし、高知県と愛媛県の素材に絞ったメニュー構成に変更した。その先陣を切るのが、高知県宿毛市や愛媛県愛南町など、海の恵みに特化した新メニュー。生産者の思いや地域の魅力を一皿に込め、四国の海が育んだ豊かな味わいをより深く伝える内容となっている。

高知・宿毛湾で育てられた脂のり抜群のブランドブリ「荒木さん家のブ」 、環境に配慮した次世代型養殖の「真鯛未来」 、そして愛媛・愛南町深浦港から届く鮮度抜群の「日帰りカツオ」などが登場した 。いずれも高知・愛媛の豊かな自然と生産者のこだわりが生んだ逸品で、それらを早速試食させてもらった。



高知と愛媛といえば、高知のカツオと愛媛のタイとなりそうだが、ここではあえて高知のブリと愛媛のカツオ、とひねりを加えている辺りにもこだわりが見え隠れした。
愛媛県の深浦港に水揚げされるカツオは「日帰りカツオ」と呼ばれ、深夜に漁に出た漁船が持ち帰って水揚げされたカツオを、その日の夕方の競りにかけて、翌朝には大阪など消費される市場に届けられるということで、獲ってから競りにかけられるまでが1日以内なので「日帰り」となるそうだ。そのため、途中で凍らせたりすることもないので非常に新鮮なまま、カツオが消費者の目の前に届くことになるという。

試食したカツオの藁(わら)焼きもお造りも確かに新鮮で柔らかく、脂が乗っていてコッテリというよりあっさりといった味わいで食べやすい。


合わせて提供されたカツオ専用ぬた味噌をつけると相性抜群。
ぬた味噌は、高知県伝統のタレの一種で、葉にんにくを刻んで、白味噌とゆず酢、砂糖などとよく混ぜ合わせたタレ。それを愛媛の漁港に水揚げされたカツオと合わせて食するという四国の酒場ならではの食べ方だ。

ブランドブリとして知られる「荒木さん家のブリ」は、養殖の方法にこだわった育て方をしている。特注飼料を与えて大型いけすを使用し尾数を抑えて育てることで、ブリにとって自然に近い環境を再現し、ストレスを最小限にとどめ、旨みと食感に優れた高品質なブリに育つように工夫しているのだ。
藁焼きたたきにして提供された荒木さん家のブリは、脂が適度に乗ったブリに育っていて、色味も鮮やかで臭みもなくかなり食べやすかった。

サステナブルな方法で養殖した「真鯛未来」を使った真鯛未来のカルパッチョ高知土佐文旦(ブンタン)は、タンパクになりがちの白身ながら文旦が利いていて、ドレッシングがうまくインパクトを加えていた。散らしたコショウがちょうど良い程度のスパイスになっていてアルコールが進みそう。

最後に出てきた鯛釜飯も真鯛未来を使用していて、炊き立てご飯にほくほくの鯛の身は旨味成分がしっかり染み込んでいて一粒残らず完食してしまった。


試食には、ほかにも〝~天〟といいながらもさつまいもの天ぷらとは全く別物の芋天や鶏肉のせんザンギ、高知にんにくせんべいなどもあり、新鮮な魚介だけでないバラエティ豊かなメニューも提供された。

芋天は、揚げ物という方がピッタリで、さつまいもの甘みが程よくあり、甘すぎす食事の一品として満足感が高かった。

にんにくせんべいは、当然にんにくが利いていて、くせになりそう。パクパク食べてしまいそうなので要注意。

ドリンクには、直七という高知県宿毛市特産の希少な柑橘を使った直七ハイボールや直七スダチサワーなどがある。
両店舗とも営業時間が午前11時半~午後2時半と午後5時~同11時で、ランチとディナーに絞っていて、土日・祝日がお休みなので注意。
高知や愛媛出身者が来ても、「ふるさとの味だ」と思ってもらえるくらいに地元の味にこだわって素材を仕入れいているそうなので、両県の味が恋しくなったら、四国の酒場へ行ってみるのは良い選択肢ではないだろうか。
■四国の酒場本町店/大阪市中央区備後町3-1-15
■四国の酒場肥後橋店/大阪市西区江戸堀1丁目9-1肥後橋センタービル B1
(文・写真=岡野健将)