【円滑な親子関係(3)】「子どもの短所」、あなたはどう捉える?

コミュニケーションライター/黄本恵子

 子どもの短所が気になって仕方がない…。そんな思いにとらわれてしまうこと、ありませんか?

 良いところも悪いところも、全部見えるのが家族。欠けていると思われる部分は、特に目につくものですよね。

 その子どもの気になる『短所』、違う角度から捉えてみると、今までとはまた違う感覚を得られるかもしれません。

 物事には『必ず2つ以上の見方がある』と言われています。そして、物事を見る枠組み(フレーム)を変えて、別の解釈を与えることを、心理学の技術で『リフレーミング』といいます。

 短所もそうです。必ず別の見方ができます。

短所のリフレーミング例

怒りっぽい →ストレスを溜めにくい、情熱的

引っ込み思案→思慮深い、まじめ

神経質→細かいところに気がつく、几帳面

協調性がない →他と違う考え方ができる、個性的

流されやすい→吸収力がある、素直

 そう、子どもの短所と思える部分は、『強み』になり得るものでもあるのです。また、それが家族の助けや救いになっていることも少なくありません。

 わが家の10歳の息子を例に挙げさせていただきますと、彼は『大雑把で忘れっぽい』ところがあります。

 工作や絵画の作品は荒いところが多く、宿題や持ち物を忘れること、失くすことも日常茶飯事です。

 この『大雑把で忘れっぽい』ところは、リフレーミングしてみると『おおらかで細かいことは気にしない』ということ。

 息子は、私や夫のウッカリや失敗を、あまり気にしません。「そんな時もあるわ」「大丈夫やで」「気にせんで!」と、いつも明るく言ってくれます。

 ひどく叱った後も、数分後にはケロッとして「なあなあ」「あんな~」と明るい声で話しかけてくれます。

 友達とわずかなことでけんかすることもありますが、次の日には気持ちを切り替え、自分から話しかけて仲直りができます。

 息子が几帳面でキッチリしていれば、親として今より楽になる部分はあるでしょう。

 ですが、私や夫のことを簡単には許してくれなくなるかもしれません。友達と良い関係を築きにくくなるかもしれません。

 子どもの短所を『悪いもの』と決めつけ、否定し直そうとすることは、子どもの強みや周囲に与えてくれている良い影響を失くしてしまうことに繋がりかねません。

 子どもの立場からすると、とても息苦しく感じるでしょう。親としても、子育てのしんどさが増すだけのように思います。

 子どもの短所と思えるところをリフレーミングできると、注意の仕方や、普段のコミュニケーションも、きっと変わります。必要以上にキツイことを口にしたり、ギスギスしてしまうこと、少なくなるのではないでしょうか。褒めたり、ねぎらってあげることも多くなりそうです。

 リフレーミングは、人生の選択肢を増やし、心を楽にしてくれる技術です。ぜひ日常生活のいろんな場面で活用してみてください。

 視点を変え、視野を広げて、子どもたちの成長を見守っていけるといいですね。



黄本恵子(きもと けいこ)
大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。