
江戸時代からの歴史を刻む大阪府守口市の「旧徳永家住宅」が、地域のにぎわいを生む複合施設「燈森(ともり)」として再生された。市が進める駅周辺のリノベーション事業の一環で、7月15日の内覧会では、関係者らが伝統建築の風情と新たな機能が調和した空間に見入った。
複合施設「燈森」内覧会

歴史的建築が地域交流の拠点に
守口市駅北側、文禄堤沿いの「旧徳永家住宅」の大規模改修が終了。7月15日に内覧会が行われ、関係者らに再生された建物の魅力が披露された。今後テナント工事などを経て、複合施設「燈森(ともり)」として生まれ変わる。
本改修は、2023年に市が策定した「守口駅北側エリアリノベーション戦略」の一環。旧徳永家住宅は、かつて河内木綿やなたね油などを扱っていた上級商人の問屋で、主屋と土蔵からなる木造建築。漆喰壁や虫籠窓、焼杉の外壁など、伝統的な意匠が随所に残る。
新しい施設は、レストランや地ビール工房、オフィス、レンタル農園などを備え、地域交流の拠点を目指す。外観は可能な限り保存され、主屋の土間や囲炉裏のある吹き抜け空間も復元された。傷んでいた「衣装蔵」も修復された一方で、シロアリ被害が深刻だった「道具蔵」などは解体し基礎の区画を残した菜園として再活用される。主屋の縁側や居室から庭が一望できる元の景観を残し、建物全体は耐震補強を施しながら安全性を確保している。今後は地域のにぎわいを創出し、守口市のまちづくりの象徴としての役割が期待されている。
