上方笑芸界で現役として活動する漫才・コントで最も長いコンビ結成55周年を迎えた海原はるか(77)かなた(77)が8月23、24日の午後、所属する松竹芸能の本拠地・心斎橋角座で記念公演を行う。2人は週刊大阪日日新聞の単独取材に応じ「(俳優養成所の)明蝶学院時代から一緒の仲。互いに大病してコンビで活動できない時期もあったけどコンビ解消する考えは一度もなかった。次は60周年ですけど、ちゃんと立って漫才できれば最高。後は1年ずつ一緒に元気で頑張るだけ」と喜びを語った。

養成学校を出て役者を目指した2人は先輩から「漫才コンビ組んで日銭稼ぎや。真面目にやってたら芝居の仕事もそのうち来るから」と言われ、当時人気絶頂の海原お浜・小浜に弟子入り。当初は小さな芸能事務所だったこともあり下積み時代が続いた。1998年に現在の松竹芸能に移籍後、はるかの薄毛が楽屋話で大ウケ、たまたま舞台上でかなたがアドリブで息を吹きかけたところ見事にはるかの頭皮が丸出しとなり客席は大爆笑。テレビCMなどにも起用され一気にブレークした。

他の若手コンビは賞レース狙いで1席3~5分の漫才やコントを演じる事が多いが、2人は髪吹き芸を締めに、はるかがジョッキーにふんしてかなたが早口で架空実況する競馬中継など誰でも知っているネタ展開で1席10~15分をじっくり聞かせる。かなたは「漫才はヤレばいい、ウケればいい、というものではない。お客さんの期待を裏切らず耳と目で喜んで頂ける芸を常に見せる」とハードルは高い。

コロナ禍で髪吹き芸が出来ず立ち往生したことも。「間にパーテーションが立ち、息吹きも厳禁。さすがに困りました。考えて扇子であおいで飛ばす方式にして乗り切りました。必要は発明の母ですわ」とかなた。はるかは9対1分けと言われる髪型について「商売道具ですから高級ブラシで手入れを怠らず大事にしてます。相方は絶妙のタイミングで吹いてくれるのでキチンと飛びます」と照れ笑い。かなたも「一般の方に試しに吹いて頂いてもうまく髪は飛びません。長年の慣れが必要」と苦笑。
共通の趣味はスポーツジムで体を鍛える事。はるかは体重同等の50~60㌔のバーベルを持ち上げ、かなたは電動バイクやランニングマシンを使い共に筋力維持に余念がない。はるかは70歳、75歳で下帯一つの肉体美写真を公開、かなたはきれいな立ち姿と舞台出入りにさっそうと歩けるよう常に意識。口をそろえ「ジムに行く前はサボりグセが出そうになるけど、行けばスイッチが入って楽しい」と話すから、運動習慣は既に維持できるようだ。

一見コワモテ顔だが共に後輩には優しい。23日にはますだおかだや横山ひろし、酒井とおるらを交え昭和の漫才をテーマに実演とトーク。24日は紺野ぶるま、アルミカン、くわがた心ら若い女芸人多数が参加しクイズなどコーナー芸で楽しませる。2人は「会社がいろいろ考えてくれありがたい。若手と一緒に舞台に上がると様々な刺激を受け楽しい。幸い舞台やテレビにいろいろ呼んで頂いているので、まずは健康に気を付け仕事を無事にこなし続けたい」と記念公演が楽しみなようす。
(畑山 博史)