白浜町、「ペットツーリズム」でまちづくり推進 tent tent社(大阪市)と包括連携協定 観光と防災の両輪で「人と動物にやさしい地域」へ

左から和歌山県白浜町の大江康弘町長、tent tentの小西恵子さん

 和歌山県白浜町(町長・大江康弘)は6月23日、ペットとの共生社会づくりに取り組む企業「tent tent」(大阪市、代表取締役・小西恵子)と、観光と防災の両面から地域づくりを進める包括連携協定を締結した。協定初日には、町内の平草原公園に整備されたドッグラン施設も利用可能となり、白浜町の〝ペットフレンドリー化〟が本格始動した。

平草原公園のドッグラン

 本協定は、「人と動物にやさしいまちづくり」を柱に、ペットを伴う旅行〝ペットツーリズム〟を観光資源として育成する一方、有事の際のペット同行避難体制も整備し、持続可能な共生社会の実現を目指す。

 白浜町といえば、ジャイアントパンダで知られるアドベンチャーワールドの存在が観光の柱となってきた。今後は、パンダの〝里帰り〟「ポストパンダ」を見据えた観光施策が求められている。

 tent tentは月間50万人以上が利用する愛犬向け情報サイト「おでかけわんこ部」を運営し、全国の飼い主とペット受け入れ施設をつなぐハブ的存在。同社小西氏が出演したTV番組を視聴した大江町長からのアプローチを機に、今回の協定が実現したという。

 協定では、2つの軸で施策が展開される。一つは観光振興。白浜町観光協会と連携し、ペット同伴可能な施設を網羅したマップを紙・ウェブで整備するほか、特設サイト「わんこ旅白浜(仮)」も開設予定。事業者向けのガイドライン策定や研修、観光客と地域住民に配慮した動線・マナー表示の導入も進められる。

 二つ目の軸は、防災力の向上。南海トラフ地震などの災害時に備え、ペットと避難できる「同行避難所」のモデル施設を公共施設や宿泊施設内に整備。施設のゾーニングや多言語対応なども想定し、外国人観光客への対応も強化する。

 tent tentの小西氏は、「白浜の自然や温泉との相性も良く、持続可能な観光資源としての可能性があります」と話す。加えて「動物が苦手な方への配慮も忘れず、誰にとっても安心できるまちづくりを目指したい」と語った。

 大江町長は「ペットと人に優しい観光地として、白浜の新たな魅力を国内外に発信していきたい」と意欲を見せた。

 今後、tent tentはメディア発信や現場支援、クリエイティブ制作などの強みを活かしながら、白浜町と共に「人と動物が笑顔で過ごせるまち=白浜モデル」の実現を目指す。