ブルーに塗られたオープンスペースは、春の訪れと共に凍っていた川の水が溶ける風景をイメージしていて、カナダで見られる自然現象「水路氷結」を表現している。その後に立つ白い建物のカナダパビリオンは、デジタルと仮想空間で同国を紹介している。

カナダは10の州と3つの準州で構成されて北極圏までカバーする広大な大地の国で、カナディアンロッキーなどその雄大な自然が代名詞なので、同館ではその自然を題材にカナダの各所について説明している。
館内に入ると、特製のタブレットが1人一台配られ、使い方の説明を聞くところから始まる。館内ではそのタブレットを使ってAR(拡張現実)が作り出す仮想空間を旅していくスタイルだ。
最初の空間はカナダの大自然を流れるセント・ローレンスリバーの底から陽光の差し込む水の流れを見上げるというもの。その川の流れにタブレットを向けると、鮭が泳いでいる映像が浮かびあがる。ついつい鮭を追いかけてタブレットをあちこちに向けてしまう人が続出。
次の空間には大小様々な氷山の模型が置かれていて、その一つ一つは形が違っている。氷山に先ほどのタブレットをかざすと、氷山ごとに違う景色が現れる。ナイアガラの滝やダムを作るビーバー、先住民の暮らし、険しい崖っぷちを走る列車、トロントのCNタワーやライブ会場に集まる群衆、バッファロー、赤毛のアンの家などが登場する。
タブレットを向ける角度や位置によって見え方が変わったり、仮想世界の中で何かが動いたり、立ち位置を変えると違うものが現れたり、となかなかよくできている。子どもも大人も驚きと好奇心を刺激されてザワザワしていた。






1つ1つの氷山が、テーマやカナダ内の場所と紐づけられているので、全部チェックするとカナダを西から東まで学べるようになっている。AR画像には文字や解説はなく、各自がみて楽しむスタイルなので誰でもが簡単に楽しめる。
時々、タブレットが反応せず、なかかなAR画像が出てこない時があるので、その際はタブレットの角度を変えたり、位置や距離を変えて試してみる必要があった。また周りにいる人たちと画面を見せ合って、お互いに何が見えているか確認し合う楽しみ方もあるようだ。
氷山のエリアを抜けると、宇宙船から外を眺めているようなセットがあり、そこにタブレットを向けると宇宙飛行士が現れ、空中遊泳しているのがわかる。
氷山のエリアもそうだが、タブレットを天井や壁に向けると場所によっては隠れ画像が出てくることがあると聞いたので、タブレットを壁に向けてみたら都市が現れた。
最後の空間は、ホスト州を紹介するイベントスペースで、数週間ごとに内容が変わる。
壁に飾られている大きなカナダの地図はずっとあるので、ここでカナダの全景を確認することができる。
同館の中ほどにはオープンステージがあり、毎日のように何かしらのパフォーマンスが行われているので、そちらも要チェック。
興味のない人だと15分くらいで終わってしまうかもしれないが、タブレットに映し出されるAR画像が見せてくれる仮想世界はじっくり時間をかけて旅する価値のある楽しい世界なので、30分といわずゆとりを持って1時間くらいかけて巡ってみてはどうだろう。