上方落語界で〝華の平成六年組〟と呼ばれるのが今年入門30年目を迎えた8人の中堅噺家。中でも「くしかつの会」を結成する桂吉弥(53)、桂春蝶(49)、桂かい枝(55)の3人は人気実力ともリーダー格で、12月12日夜に初の名古屋公演を開くことになり記者会見で抱負を語った。
「くしかつの会」は1994年入門の亭号・桂の3人が集まり「上方落語を盛り上げて行こう」との決意を込め結成。吉弥は神戸大落語研究会を出て桂吉朝に入門、NHKテレビ朝ドラ出演で注目され全国的人気。春蝶は父親の二代目春蝶の死後、落語家を志し父の師匠三代目桂春団治に入門。現在は東京に活動拠点を移し多方面で活動。かい枝は高崎経済大在学中に見た五代目桂文枝の高座に感動し落語経験がないまま卒業と同時に入門。今では大阪樟蔭女大客員教授として得意の英語落語を教えるなど幅広く活動。
名古屋公演の前日11日夜は神戸の定席寄席「新開地・喜楽館」で同会の公演があり、3人は2日連続の会でそれぞれ演目を替え約40分ずつ口演。「子は鎹(かすがい)」(かい枝)、「くしゃみ講釈」(吉弥)、「芝浜」(春蝶)などおなじみの演目を選んで競い合う。
3人以外でも林家菊丸(50)、桂米紫(50)、桂文鹿(54)などが居並ぶ。次世代を担う存在から10年後には文字通り上方落語界の屋台骨を背負う顔ぶればかり。かい枝は「僕は余り先の事は考えないタイプ。来月、再来月の事で精一杯」ととぼけたが、春蝶は「これまで手を広げていろいろな事をやってきた。これからはそれらを刈り取り収穫する時期に入ると思う」と話し、吉弥は「おかげさまで全国各地に呼んで頂いておりますが、もっとお稽古に時間を取りたい。ただおもしろいだけでなくいい落語をやりたいから。僕らが古典をキチンとやってお客さまに楽しんで頂く責任がある」と力を込めた。
(畑山 博史)