上方落語家・桂かい枝(55)が「芸歴30周年記念独演会」(11月27日夜)に行う事になり、会場となる大阪・なんばグランド花月(NGK)で記者会見し抱負を語った。
五代目桂文枝(2005年、74歳で死去)に1994年6月入門。同期に桂米紫、林家菊丸、桂文鹿らが競い合う〝花の94年組〟の1人。人気の同期生・桂吉弥、桂春蝶との3人で「くしかつの会」を結成し、定期的に公演開催。「上方落語の次の世代をしっかり担うためにも同期8人で切磋琢磨せなアカンと思います。負けたくない」とライバル心メラメラ。
県立尼崎北高時代からNGKの舞台に憧れ「学生時代から、よくこの劇場に足を運んでいて、当時はミスターボールドさんやダブルコミックさんとか体全部を使って笑わすような芸がウケてる中、桂文珍師匠が出てくると、客席ひっくり返すくらいドッカ~ンと笑わせているのを見て〝すごいなぁ、かっこえぇなぁ〟と噺家さんに憧れました。〝いつかここで自分の会ができたらえぇなぁ〟と夢に描いておりました」と初のNGK独演会開催に決意も新た。
NGKには昨年から月に1回程度、昼の本公演に出演しているが、「いつか独演会やってみたかったけど、とにかく広い! 900近い席をお客さんで埋め尽くすのは恐怖しかないですが…」と話しながら悠然と取り出したのは2本のうちわ。
2人の顔写真があしらわれ「ゲストがすごいです! 私のコネとツテを頼るだけ頼って、人形浄瑠璃文楽座の人形遣い吉田一輔さんと吉田玉翔さんがまず三番叟(さんばそう)で祝って下さいます。落語は笑福亭鶴瓶師匠と桂二葉さん。今や集客マシンのお2人です。鶴瓶師匠は2席やられて6千円入場料取っておられましたので、1席なら3千円。そして二葉さんは同じく2席で4千円だったので1席2千円ですから、既に合計5千円です。これで十分モトが取れるんですな。そこに文楽と、私も落語を2席やらせて頂いて、前売り4千円ですから」と関西人らしくコスパの高さを強調。
自身の演目は笑いの多い新作の創作落語と江戸人情噺の定番「芝浜」。「鶴瓶師匠に〝これ、合うと思うで〟って言って頂いたんです」と、芝浜を選んだ理由を説明。
市立高崎経大出身で早くから英語落語に力を入れており、大阪樟蔭女大客員教授として本格指導。そのネタが小中高の英語教科書にも採用され、外国人相手の高座ではネイティブ級の語りで、英語でのダジャレも即興で織り交ぜた海外公演も多数。既に余芸というより二刀流の本格派。
来春の大阪・関西万博(4~10月)開催を控え、得意芸をインバウンド観光客にアピールできる絶好の機会に。「そういう話も進んでいます。伝統+吉本の笑いという強いコンテンツで、万博期間中の大阪にたくさんの外国人の方を取り込める専用劇場が開設できれば素晴らしい」と夢を広げた。
(畑山博史)