美の探究者 その感性と哲学(6) プロとは〝責任を取れる〟こと <久山奈津>

ル・キヤの久山奈津さん
久山奈津/まつげパーマが一般的でなかった1996年に創業。独自の「まつ毛カール」技術や「落ちないマスカラ」で一世を風び。まつ毛デザインと目元美容で、常に日本の先端を走り続ける。一流が集う東京と大阪・にサロンを構え、後進の指導にも力を入れている。

 みなさんにとって、プロフェッショナルとはどういったものでしょうか? 仕事や職業で自分自身がプロであるという自覚を持ち、その職務に対する使命感や向上心を持つことなどと言われますが、つまりは自分がやったことに対して〝責任を取れる〟ことだと私は思います。

 私はまつ毛パーマの技術指導者です。私の業界では技術者としてデビューするまでに一週間ほど研修を受けた後、すぐに現場に立ち、お客様に施術をしているケースが多いようです。初めてそれを聞いた時、私は本当に驚きました。私が運営するサロン「ル・キヤ」では、プロとしてお客様に施術させられる技術に到達するまで、最低でも3カ月~半年はかかるからです。

 お客様には心地良く施術を受けてもらわなければなりません。例えば、多くのサロンでは技術者が施術しやすいように、まぶたにテープを貼りますが、ル・キヤはそれをしません。確かにテープを使えば施術はしやすくなるのですが、肌の弱い人はテープを貼った場所がすぐに赤くなったり、かぶれたりしてしまいます。もちろん、テープを使わないので相当な技術が求められますが、テープで引っ張らない分、自然な形の仕上がりになります。

 また、ロットもテープで固定しないので、閉じたまぶたの中で動く眼球に合わせ、ロットも動かさなければならない。この感覚を身につけるのが難しいのです。

 まつ毛一本一本を丁寧にカールし終えたとき、私にはプロとして譲れない部分があります。全体をチェックして一本でも下を向いてたり、バランスが悪いと感じれば、必ずやり直します。お客様が気づかないのにやり直す。それはプロとしての責任があるからです。

 ここで紹介したのはほんの一部ですが、ル・キヤの場合はこうした技術を一週間で習得させ、サロンにデビューさせるのは到底、無理です。プロとしての〝責任を取れる〟とはこういうことです。

 ル・キヤでは、こうしたプロ意識をスタッフに伝え続けています。だからこそ、お客様から「あなたじゃなきゃダメなの」と選ばれる人間になれるのです。

(ル・キヤ代表 久山奈津)

ル・キヤ アイスペシャリテハービスENT店
大阪市北区梅田2ー2ー22 ハービスENT 6階 tel.06(6346)7644
まつ毛を傷めず育てながら、きれいに長持ちする“理想の上向きまつげ”を実現。