美の探究者 その感性と哲学(7) 〝必要とされる存在〟になるために <久山奈津>

ル・キヤの久山奈津さん
久山奈津/まつげパーマが一般的でなかった1996年に創業。独自の「まつ毛カール」技術や「落ちないマスカラ」で一世を風び。まつ毛デザインと目元美容で、常に日本の先端を走り続ける。一流が集う東京と大阪・にサロンを構え、後進の指導にも力を入れている。

 今回は新入社員研修についてお話しをしたいと思います。
 ル・キヤでは目元サロンという仕事柄、施術ではお客様のお顔にふれます。そのときのふれ方なのですが、〝生まれたての赤ちゃんの頬を撫でるような感覚で静かに丁寧に〟とスタッフに伝えています。
 お客様と接するときの言葉も同じ。配慮のある言葉で接しているか、日本語を略していないかなど〝全てにおいて丁寧に取り組む姿勢〟が大事です。
 開店前にはみんなでベッドを囲み、実践的な指導を行います。液体を使うので誤ってお客様の目に入らないように、眼球を押さえ過ぎないなど、モデルの方に練習を手伝ってもらいながら、技を極めていきます。

 新しく入ったスタッフは、まず施術を見て学びます。頭の中で施術のイメージを繰り返した後、モデルに練習台になってもらい、実技訓練に入っていきます。 全ての研修が終わるまで少なくとも3カ月はかかります。そして〝ひと月デビュー価格〟でご予約をいただきます。
 施術後はお客様から感想をうかがいます。そこで応援の言葉をいただいたり、そのまま次回のご指名いただいたりと、スタッフ自身が責任と喜びを感じて充実した時間を過ごします。
 マニュアルは用意しているのですが、実はあまり意味がない。私はどんどん改良していってしまうので。このため、スタッフは大変ですね(笑)

 施術だけではありません。あいさつもとても大切にしています。お客様だけでなく、他店で働く人にも気持ちよくあいさつをし、すべての人に丁寧に接する。人間関係が希薄な現代だからこそ、そういう心持ちが私は大切だと思うのです。
 自分の周りに円を描いて感じる…。円の大きさには個人差があるものの、他に配慮する、気づくことができてこそ、技術の輝きも増すもの。
 「あなたにお願いしたい」と信頼され、必要とされる存在になれるように毎日をアップデートしながら成長し続けたいものですね。

(ル・キヤ代表 久山奈津)

ル・キヤ アイスペシャリテハービスENT店
大阪市北区梅田2ー2ー22 ハービスENT 6階 tel.06(6346)7644
まつ毛を傷めず育てながら、きれいに長持ちする“理想の上向きまつげ”を実現。