美の探究者 その感性と哲学(2) シンプルこそ”本当の美しさ” <久山奈津>

ル・キヤの久山奈津さん
久山奈津/まつげパーマが一般的でなかった1996年に創業。独自の「まつ毛カール」技術や「落ちないマスカラ」で一世を風び。まつ毛デザインと目元美容で、常に日本の先端を走り続ける。一流が集う東京と大阪・にサロンを構え、後進の指導にも力を入れている。

 読者のみなさんは普段、お風呂場で体や頭を洗うとき、どのようなものを使っていますか? 頭を洗う時はシャンプーやトリートメント、体を洗う時はボディソープが多いのではないでしょうか。
 とてもニッチな話になりますが、私はシャンプーやトリートメント、ボディソープを一切、使いません。
 体や頭を洗う時に使うのはシルク石けんのみです。顔もシルクの粉を泡立てて洗っています。
 それまでは髪質が悪いことが悩みでさまざまなトリートメントを試した時もありましたが、石けんを使い始めてからは、髪質だけでなく、肌の調子まで良くなりました。
 掃除に関しても同じです。お風呂やトイレの掃除用洗剤は使用しません。理由は汚れた泡が排水管に流れていくことに抵抗を感じるからです。
 以前、旅行で屋久島を訪れた時のことです。キッチンで洗剤をつけてお皿を洗った水や、漂白剤で掃除した水が排水管を通り、そのままダイレクトに海に流れ出ている光景を目にしました。その水のせいで、海にいる魚やさまざな生物が死んでしまうことを考えてゾッとしたのです。人間もそのような海に入りたくないですよね。
 キッチンやトイレ、お風呂は確かにピカピカになったかもしれません。しかし、一方で周囲の自然環境を悪化させることに繋がっていると考えると、どうでしょう。
 自分の見える範囲だけをきれいにして結果、他に汚れを押しつけているとしたら…。こうした高い視座で物事を判断することは、心のゆとりにも繋がります。
 ところで、石けん生活をはじめてからは、お風呂の排水溝がとてもきれいになりました。特に掃除をしなくてもヌルヌルした感じもなく、汚れないのです。家の掃除は掃除機を使うくらいで済み、とても楽になりました。
 コロナ以降の生活は、アルコール除菌が当たり前になりました。本来は菌がいて当たり前。さまざまな菌がいるからこそ、人間の体は強くなります。 その菌をアルコールで除去し続ければ当然、体の抵抗力は下がりますよね。
 余計なものを取り除き、シンプルに考える。見た目の美しさだけでは無く普段の生活から意識を変えることが本当の〝美〟に繋がっていくのです。

(ル・キヤ代表 久山奈津)

ル・キヤ アイスペシャリテハービスENT店
大阪市北区梅田2ー2ー22 ハービスENT 6階 206(6346)7644
まつ毛を傷めず育てながら、きれいに長持ちする“理想の上向きまつげ”を実現。