美の探究者 その感性と哲学(3) 本来の自分を取り戻す <久山奈津>

ル・キヤの久山奈津さん
久山奈津/まつげパーマが一般的でなかった1996年に創業。独自の「まつ毛カール」技術や「落ちないマスカラ」で一世を風び。まつ毛デザインと目元美容で、常に日本の先端を走り続ける。一流が集う東京と大阪・にサロンを構え、後進の指導にも力を入れている。

 忙しい毎日に追われ気付かないうちに自分を見失っていることがあります。
 本来の自分を取り戻すために立ち止まることも時には必要。疲れたと感じた時、私は〝屋久島〟を訪れます。
 初めて訪れたのは7、8年前のことです。化粧品の原料を探すのが目的でした。ここで私は、不思議な体験を2度するのです。
 一つ目は、忘れもしない初めて訪れた日の出来事。屋久島に着いたら「まずは〝お水〟にあいさつをするのが流儀」と現地の人に教わり、日本の滝100選に選ばれる屋久島最大級の「大川(おおこ)の滝」へと向かいました。
 断崖から豪快な水しぶきをあげて勢いよく滑り落ちる水量に圧倒されていると、急に激しい頭痛に襲われたのです。
 すぐに車でホテルに戻ると、何時間も嘔吐(おうと)の繰り返し。何も口にせず、胃は空っぽのはずなのに全く収まらない。まるで苦行のような状態でした。
 しばらくして、これは私自身が浄化されているのだと気づきます。今まで溜め込んでいたものを一気に吐き出せたように感じました。なぜなら翌日にはすっかり回復し、食欲も体力も復活。まるで生まれ変わったような心地良さでした。
 きっと不自然なものを、知らず知らずのうちに体の中にため込んでいたのでしょうね。都会でビジネスにもまれているときは常に戦闘モード。気付かぬうちに毒素にまみれていたのかもしれません(笑)
 もう一つの不思議な体験は、現地の知人宅を訪ねた時。知人が飼っていたネコが私のひざの上や横にピタッとくっついて来たのです。実は私、ネコが大の苦手。そばに寄られるのも嫌なくらい。それなのになぜかうれしくて心地が良く、不思議な感覚なのです。
 そのネコは弱っている人を見つけては側にくっついていく習性があると知人が教えてくれました。
 屋久島を訪れるたび、その子(ネコ)はピタッと寄り添ってくれます。
 なぜ私が屋久島にひかれ、何度も訪れるのか。それは本来の自然な生き方を取り戻せるからです。私は一体、何をして生きているのか、人はどうしたら幸せになれるのか、を感じる分岐点になった島だからです。
 今も月に一度は屋久島を訪れ、都会でまとわりついた毒素をリセットしています。

(ル・キヤ代表 久山奈津)

ル・キヤ アイスペシャリテハービスENT店
大阪市北区梅田2ー2ー22 ハービスENT 6階 tel.06(6346)7644
まつ毛を傷めず育てながら、きれいに長持ちする“理想の上向きまつげ”を実現。