演歌歌手、花咲ゆき美はとにかく地味な存在だった。生まれは青森だが津軽地域ではなく、地図でいうと右半分・南部地域の野辺地町。育ちは東京都武蔵村山市(市内に駅はなく、乗降はJR立川駅や福生駅と市外)で志村けんさんの出身地・東村山市といつも間違われた。
体格も中肉中背、平均的なアラフォー美人。これでは目立たないのも無理はない。ところが、6月発売の新曲「雨の港駅」を引っ提げ、7月度の「大阪発流行歌ライブ」に出演。アニメキャラみたいな甲高く可愛い声での全開トークと、民謡出身らしい迫力低音大声量歌唱の落差で観客の度肝を抜く大変身をとげた。
7月でプロデビュー満17年。個人事務所でコツコツ活動してきたが、今回の新曲では初の関西6日間連続キャンペーンを実施。イベントでのCD購入特典として用意した数種のコスプレ生写真をファンにプレゼントしたり、歌っては客席へ積極的に降りファンと握手。歌唱途中で「ゆきみぃ~」のコールをファンに促したり、ファンをバックダンサーにしてステージを盛り上げてもらうなど、とにかく積極的に周囲とコミュニケーションを図った。
前作の19作目シングル「冬岬」が出たのが1昨年11月。「初めて1年半空いたんです。丸1年ずつのインターバルで当然のように新曲を出して頂いたけど〝実は当たり前じゃなかったんだ〟って気付いた。そして初めてシンガー・ソングライターのHANZOさんに今回の2曲の提供を受けました。スイッチ入ったんです」と並々ならぬ決意を吐露。真夏のキャンペーンはスポットライトが当たるとしゃく熱で玉の汗が噴き出るが「私、冬より夏が好きなんです」とケロリ。昭和歌謡をカバーするのが好きで、美空ひばりやフランク永井など渋すぎる選曲で熱唱するYouTubeチャンネルはマニアに人気。
好物はカレーで大阪でも名物グルメに目もくれずカレー行脚。「激辛は苦手。本来のスパイシーな味と香りを生かした野菜カレーが好き。大阪に来たら絶対に行くお店が何軒かあります」といたって庶民的。
健康法は愛犬の散歩とボウリング。「ストライクはもちろん爽快ですけど、1ピンだけ残ってキチッと狙いスペアを取れた時が最高。ここ数カ月でベストスコアが20点ぐらい上がって163まで行きました」と熱っぽく。後援者からから頂いた大好きなキティちゃん柄のゴルフセット一式が日の目を見るのはもう少し時間が掛かりそうだ。
(畑山博史)