〝人間賛歌〟のハルモニの姿を情感豊かに描く

映画『アリラン ラプソディ ~海を越えたハルモニたち~ 』

映画『アリラン ラプソディ ~海を越えたハルモニたち~ 』

 大阪・鶴橋出身の監督・金聖雄さん(在日2世)が川崎(神奈川県)のハルモニたちを 20 年余りに渡って記録し、描いたドキュメンタリー映画「アリラン ラプソディ ~海を越えたハルモニたち~ 」(2023 年/カラー/125 分 企画・製作・配給・宣伝 KimoonFilm)が大阪、神戸、京都で劇場公開される。戦前から戦後の時代のうねりに翻弄されながらも〝海を越えたハルモニたち〟の人間賛歌の日々の姿が描かれている。

 ハルモニは韓国語でおばあさんをいう。戦争に翻弄され、生きる場を求めて幾度も海を往来し、川崎にたどりついた在日一世のハルモニたち。

 川崎・桜本の共同学習の場「ウリマダン」で読み書きを学ぶ穏やかなハルモニたちの表情。桜の木の下で朝鮮民謡のアリランを謳い舞う笑顔のハルモニ。一方で「朝鮮人をたたきだせ」とヘイトデモが桜本を襲ったときには「さべつはゆるしません」と毅然として闘うハルモニの姿。

 映像ではそれぞれの波乱万丈の半生を送る彼女たちが、金監督のインタビューに自然体でときには情感を込めて語る姿がクローズアップされる。今では穏やかな老後を送る彼女たちが、戦争も差別もない世界を希求するハルモニたちの物語が等身大で描かれた力作。

 金監督は「今、日本は韓国ドラマやKポップ、食などで韓国文化に魅了されています。でも、ハルモニたちの存在、歴史がすっぽりと抜け落ちています。戦争を知る亡き母の世代が、生きていた証を撮っておかなければとの思いで完成した作品。各劇場の初日の上映会にはごあいさつさせていただきます」と話している。

 関西の上映会は3月29日=京都シネマ▽30日=第7藝術劇場(大阪・十三)▽4月6日=元町映画館(神戸)。

「ハルモニたちのラブソディ、人間賛歌を描いた作品です。多くの人に鑑賞していただきたいです」と話す金監督