社長が自ら女将としてカウンターに ふぐ料理店「玄品」を展開する関門海

「お客様に高いふぐを安くて、おいしく、食べてもらい幸せな気持ちになってもらいたい」と話す山口さん

イノベーションの推進で新機軸を展開

 関門海(大阪市西区)はふぐ業界ではトップシェアで〝ふぐの王様〟とらふぐの取扱高は日本一の実績を持つ。創業以来の研究で「玄品技術」と呼ばれるうま味成分の向上技術を開発。養殖でありながら天然に近い味を実現し、一年中おいしい状態で安くふぐを提供することが可能になった。

 山口久美子さんは2018年6月、社長に就任以来、企業戦略としてはCI(コーポレートアイデンティティ)の導入、イノベーションの推進で新機軸を展開している。

 施設面では「玄品 本町」で社長自らが女将となる完全予約制のカウンター運営を実施。サービス面では「感じの良い接客」を目指し研修に励み、インバウンドの客にも満足してもらおうと語学研修にも励んでいた。国内64店舗(フランチャイズ含む)、海外は2017年に初めてオープンしたシンガポールに続いて2019年5月に中国第1号店「玄品 上海淮海(ワイハイ)店」がオープン。〝日本伝承の味〟とも呼べる玄品ふぐを積極的に国内外にアピールしている。

 これまで培ってきた商品や技術、思いを引き継ぎつつ「究極においしい商品」「感じの良い玄品らしい接客」「心地よく過ごしていただける店舗空間」を提供する。

 山口社長は「コロナにさんざんな目にあったんですが、〝気付き〟も多くて。従業員を大切に、お客様に高いふぐを安くて、おいしく、食べてもらい幸せな気持ちになってもらいたい。これが創業者の夢でした」。44歳の若さで急逝した創業者で夫聖二さんの思いは忘れることはない。