石川さゆりが大阪でコンサート 1月7、8日に森ノ宮ピロティホール

新曲「越後瞽女(ごぜ)」で、作家・水上勉の小説「はなれ瞽女おりん」のイメージにCDジャケット写真で挑戦した石川さゆり

 昨年芸能活動50周年を迎え、NHK紅白歌合戦に女性歌手としては前人未到の、今年で連続40回通算46回目に到達する歌手・石川さゆり(65)。新たなスタートとなる今年は「石川さゆりコンサート~4人の仲間と」と銘打って10月から全国ツアーを開始。来年1月7、8日に千人規模の大阪・森ノ宮ピロティホールで公演することが決まった。

 石川のコンサートと言えば、大阪なら3千人近いフェスティバルホールでフルバンドをバックに歌うのが定番。今回は「歌、届け!」をテーマに、バックバンドからギターとピアノだけを連れ、他の2人はキーボードやベース、チェロ、バイオリンを随時組み合わせて、楽器と歌が対話するような独自のアレンジを楽しんでもらう。「これまでと違うテイストで何かが生まれることもありますから」と楽しみな様子で「お客さまの表情を見渡せる規模の劇場で、新たな世界を作っていきたい」と説明。

 10月発売の今年2作目の新曲「越後瞽女(ごぜ)」は、作家・水上勉が1975年に発表した小説「はなれ瞽女おりん」(新潮社)がモチーフ。石川がヒットメーカーの作詞家・喜多條忠に直接製作を依頼。一昨年秋に喜多條は亡くなったが音楽デュレクターから遺作としてこの作品が届けられた。北陸地方を巡って暮らす盲目の三味線弾きの女性が主人公。「今の時代には忘れられた存在かも知れない。でもそういう方々がおられた事はぜひ覚えておいてほしい」と力を込めた。

 今春に出した前作CDは、作曲家・三木たかしの遺作「約束の月」をドレス姿で歌った。「三木先生も喜多條先生も、忘れられない独自文化がある。先生方と一緒に作り上げてきた多くの作品。ここまで歌って来られて〝恩返しにお役に立てることは何か?〟を改めて考えたら、やっぱり歌って伝える事しか無い」と決意している。

 間もなく今年のNHK紅白歌合戦出場者が発表される。石川は大ヒット曲「津軽海峡・冬景色」と「天城越え」を交互に18年連続歌い続け、今年は19年目、順調だと「津軽海峡・冬景色」の順番になる。

 「〝その年の自分の曲を歌いたい〟と思った時期もあったんです。でも、NHKの方に〝さゆりさんのこの曲を皆さんが聴き、除夜の鐘を聞いてはじめて日本にお正月が来るんです〟と言われた。今では〝皆さんがそれぞれの思いで聞いて下さればいいのかな?〟と…」と、達観した表情になった。

(畑山博史)