駐大阪韓国総領事館が、韓日米協力強化や大阪をはじめとする関西地方の重要性を見直す事を目的に、今春からスタートした「韓日関係フォーラム」。2回目となる「アジア太平洋における新たな韓日関係の未来像」と題したシンポジウムがこのほど、大阪・心斎橋のホテル日航大阪で開かれ、約150人が参加した。
主催者を代表して金亨駿総領事が、今の韓日関係を踏まえて「両国シャトル外交再開や8月には韓日米首脳会談が開催されるなど協力ムードは高まっている。今回は政治・安全保障・経済の観点から両国間の協力体制のより一層グレードアップを」とあいさつ。
司会者でもある近畿大・金泰旭教授は基調講演で、米・韓・台・中がしのぎを削る半導体サプライチェーンを例に挙げ、素材や機器に強い日本の立ち位置の重要性を強調。
世界銀行出身の早稲田大・鍋嶋郁教授は、不安定化する世界情勢の最大リスクを「来秋の米大統領選でのトランプ再当選」と指摘。露のウクライナ侵攻、新たなパレスチナ・ガザ紛争などを踏まえ、主要国がますます保護主義的になる兆候を憂い「日韓はインドも巻き込んだグローバルな貿易目指せ」と提言。
厚労省官僚出身の神戸大・後藤純一名誉教授は日韓共通の課題である少子高齢化をテーマに「性急な少子化対策はかえって現役世代の負担が増える。少子化を受け入れる社会全体の覚悟が必要」と説いた。
外務省官僚出身の東海大・西田竜也教授はインド太平洋の米中戦力バランスを「米は世界戦略、インド太平洋だけに限れば中との差はわずか」と警戒を強めた。
ソウル大に留学し韓国社会に詳しい同志社大学・浅羽祐樹教授は「前政権の文在寅大統領は自国の事だけを考え、現在の尹錫悦大統領は国際的自由陣営を見ている」と評価。
第2部のパネルディスカッションでは場内からの質問を中心に展開。政治・経済ともに〝新たな韓日関係構築〟を念頭に安全保障・半導体・少子高齢化などに関し、意見交換しながら両国の協力体制推進を模索した。
(畑山博史)