改正健康増進法の全面施行から6年余り。受動喫煙対策が進む一方、駅前や繁華街での路上喫煙、吸い殻のポイ捨て、観光地での喫煙場所不足が新たな地域課題となっている。
10月9日と14日に開かれた全国の地方議会議員らを対象としたオンライン勉強会「分煙施設の整備による社会課題解決」では、総務省、大阪市、全国たばこ販売協同組合連合会が登壇。規制だけでなく、適切な喫煙場所の確保も必要との考えを示した。分煙施設の整備を、受動喫煙防止と地域環境の改善を両立する施策として位置付ける動きが広がっている。
総務省、自治体の整備を後押し
総務省自治税務局市町村税課は、地方たばこ税が自治体の重要な一般財源となっていることを説明。地方たばこ税の活用も含め、地域の実情に応じた喫煙環境の整備を全国の自治体に促した。2024年度からは、屋外分煙施設の整備に対する特別交付税措置に加え、民間事業者による施設整備を自治体が助成する費用も対象に加えた。
総務省によると、2018年度から2025年度までに全国826市町村で計2571カ所の分煙施設が整備された。整備した自治体からは、路上喫煙や苦情、ポイ捨ての減少、景観改善、清掃負担の軽減などが報告されている。
大阪市、都心部での設置場所確保が課題
先進事例として紹介された大阪市は、2025年の大阪・関西万博を見据え、市内全域での路上喫煙禁止を進める一方、喫煙所の整備にも力を入れてきた。横山英幸市長は「吸う人も吸わない人も快適に過ごせる街」を目指すと説明。2026年度は整備にかかる予算を約11億2000万円確保している。喫煙所の整備には、たばこ税を財源として充てており、民間補助制度の拡充も含め、更なる整備を進めている。 横山市長によると、市設置の喫煙所は72カ所、民間事業者による整備は121カ所。屋外喫煙施設76カ所には特別交付税措置を適用している。

大阪市では、ビルが密集する都心部を中心に、屋外の設置場所を確保することが難しい。横山市長は、候補地を探しても駅から遠く利用されにくい場所しか見つからないケースがあったほか、鉄道事業者にも協力を求めたものの、禁煙方針などを理由に協力を得られない場合もあったと説明した。市の担当課長も、民間補助制度の必要性に加え、大都市では部局を横断した連携が重要だと指摘した。
市は民間ビルの空き室などを活用した喫煙所の整備にも取り組む。訪日外国人客が多く、吸い殻のポイ捨てが課題となっている道頓堀周辺などのミナミ地区では、2026年度から家賃補助を開始。月額上限10万円、年間上限120万円を支援し、都心部の高い賃料に対応している。

大阪市によると、市内の路上喫煙率は2024年の0・24%から2025年には0・15%に低下し、約4割減少した。市内全域での路上喫煙禁止を肯定的に評価した人は全体の76・8%に上った。一方、喫煙所の整備が十分だとする評価は51%、喫煙者では約40%にとどまった。横山市長は、禁止策への支持がある一方、喫煙場所の確保については、引き続き市民の声を聞きながら改善を進める考えを示した。
地域環境の改善へ
全国たばこ販売協同組合連合会も、喫煙者がマナーを守って利用できる場所の確保が重要だと指摘した。分煙施設の整備は、路上喫煙やポイ捨てなどの地域課題に対応し、喫煙者と非喫煙者が共に快適に過ごせる環境づくりにつながる。
今後、各自治体には、地域の実情に応じた整備が求められる。大阪市の取り組みは、路上喫煙の規制と喫煙場所の確保を組み合わせる事例として、各地が施策を検討する上で参考となりそうだ。
