
守口市南寺方に、この夏ひっそりと新たな旅館が誕生した。観光地でもなく、駅からも少し離れた立地ながら、海外からの注目も集まり、ランチには行列ができる人気ぶりだ。
館主は、香川県琴平町で江戸末期創業の老舗「こんぴら温泉つるや旅館」を25年間にわたり経営してきた小寺達也さん。築50年の屋敷を自らの手で〝宿〟として再生した。趣ある門をくぐると、目の前に広がる日本庭園と、それを一望できる28席の和風レストランが出迎える。生駒から運ばれた大岩や枝垂れ紅葉が季節を彩り、この時期は秋のトンボが飛び交う。庭を眺めながらの昼食は格別で、「ガッツリ優勝館御膳ランチ」(1200円)などの人気メニューを求め、連日多くの客が訪れている。

建物は宮大工による伝統工法で建てられ、太い梁や柱が今も堂々とした姿を見せる。客室はわずか4室で、檜の家族風呂や大浴場も完備。落ち着いた雰囲気と日本建築の風格が、ヨーロッパを中心に海外からの宿泊客にも好評だ。
小寺さんは大学まで野球に打ち込み、後に中学野球の指導にも携わってきた経験を持つ。その縁もあり、宿泊施設としてスポーツ合宿の受け入れにも積極的。琴平のつるや旅館時代には年間30校以上の高校球児が訪れたといい、ここでも低料金でサポートを続けている。
宿泊料金は一泊二食付きで1万5850円から。守口市駅までの送迎もあり、アクセス面でも安心だ。「辺ぴな場所だからこそ、特別な時間が流れる宿にしたかった」と小寺さん。古き良き屋敷に老舗旅館の経験が息づき、守口の地に新しい魅力を添えている。

■RYOKAN 優勝館/守口市南寺方東通2-1-13/電話06(6997)3556
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