学校法人常翔学園は27日、大阪工業大学梅田キャンパス(大阪市北区)で、報道関係者と学園が設置する大阪工業大学、摂南大学、広島国際大学の記者懇談会を開いた。各大学の研究者が最新の研究内容を紹介し、医療や農林業、食品など幅広い分野での研究成果や今後の可能性を説明した。
研究紹介では、広島国際大学薬学部薬学科の大坪忠宗教授が、酵素の働きを光で捉える「シアリダーゼ蛍光イメージング」について発表した。シアリダーゼは、細胞表面などにある糖鎖の一部を切り離す酵素。大坪教授は、この酵素が働いた場所だけを光らせる試薬を開発し、病気やウイルスの状態を目で確認する研究を進めている。

インフルエンザウイルスに感染した細胞や薬剤耐性ウイルスの検出に加え、大腸がん組織でも発光が確認された。感染の有無や薬の効果、がんの診断や手術支援などへの応用が期待される一方、検出精度や実用化に向けた検証が課題という。
ポスターセッションでは、3大学の研究者がそれぞれの研究を紹介した。大阪工業大学からは、小池一歩教授が血液検査を「貼るだけ」で行うことを目指したパッチ式腎機能バイオセンサーを紹介。血糖値に加え、腎機能に関わる複数の物質を同時に測定し、24時間にわたって体の状態を継続的に把握できるのが特長。現時点では模擬試料を使った検証段階で、人体での実証や医療機関との連携が今後の課題という。

宮脇健三郎教授は、農林業を支援する自律走行型クローラロボット「アグリムーバ」を紹介した。不整地や凹凸のある場所でも走行し、100~200キログラム程度の荷物を運搬できる。衛星情報やレーザーなどのセンサーを使って周囲の状況を把握し、自律走行する。農林業の人手不足を背景に重量物の運搬などへの活用が期待され、将来的には他分野への展開も視野に入れる。

摂南大学からは、洞出光洋准教授が細胞を詳しく調べる新たな計測技術、岸本良美准教授がポリフェノールやカロテノイドの摂取量調査について発表。広島国際大学からは、大坪教授の研究に加え、宮本純子准教授がホンジュラス共和国の農村地域で取り組む女性の地域活動について紹介した。
懇談会では研究者と報道関係者が直接意見を交わし、それぞれの研究の成果や実用化に向けた課題などについて理解を深めた。
