10月1日から、すべての事業主に求職者らへの雇セクハラ防止措置が義務付けられることを受け、新卒オファー型就活サービスを提供するi-plug(大阪市北区)は8月21日、企業の人事担当者を集めて大阪市内で勉強会を開いた。

厚労省の2023年度調査では、就職活動中にセクハラに遭った人は約3割にのぼる。こうした背景から、求職者や就職活動中の学生に対するセクシュアルハラスメント(就活セクハラ)の防止策を事業主に義務付ける改正法が成立。今年10月から義務化が始まるが、同社の今年2月の調査では、6割弱の企業が準備すら整っていない状況が明らかになり、今回の開催に至った。
勉強会には企業の人事担当者ら30人以上が参加。厚労省の担当者が義務化に関する背景や内容について説明したほか、参加者が4人1組になり意見を交換。各社で抱える問題点などを話し合った。
参加者の多くは、これまでの社内でのセクハラ問題と違い、求職者という社外の人に対する距離感や接触の仕方に戸惑っているようで、法律などで明確なルールが決まっていないことや、セクハラの定義が画一的でないため、面接ややり取りを手探り状態でこなしているという。
例えば、厚労省では求職者がセクハラに遭った際の連絡窓口を人事課以外に設置することも考えられるとするが、企業側の多くは「社内で他に対応できる部署はない」と悩む。
また、インターン中の求職者が外部の取引先などからセクハラを受けたときの対応は義務に含まれないが、現実的には対応は迫られる。セクハラを受けた求職者がいたら「事を大きくしないためには、希望に沿って採用しないといけないのか」などの声も。対応を誤れば企業の大きなダメージにつながる可能性があるため、必要以上に慎重にならざるを得ないことが伺えた。
このほか、「他部署のスタッフや役職者などに現状のセンシティブな状況を理解してもらい、求職者に対して正しくふるまってもらうことは難しい」という声も挙がった。
新たに始まるハラスメント防止策にはセクハラは含まれているが、パワハラは対象外という。セクハラについても企業活動の範囲内でのみ適用されるため、求職者がOBやOGと個人的に会うようなプライベートな活動には適用されないというグレーな部分も存在する。
参加した人事担当者らからうかがえたのは、当たりさわりのない会話で求職者の適性や能力を見抜かないといけないという現場の危機感だ。一方で、「求職者を守る措置というのは理解できるが、行き過ぎると日本の雇用や求職活動にとって良いことなのかどうか」と別の問題を心配する参加者もいた。
勉強会を主催したi-plugは「同様の勉強会を今後も開き、少しでもセクハラ防止策への理解を深めていきたい」と話していた。
(岡野健将)
