カーボンニュートラル 府、8億円交付へ

カーボンニュートラルの技術開発に挑む企業の取り組みを紹介する吉村洋文知事
カーボンニュートラルの技術開発に挑む企業の取り組みを紹介する吉村洋文知事

 大阪府は「カーボンニュートラル技術開発・実証事業」を実施しており、同事業の補助金の対象となる事業12件について総額8億円の交付を決定した。2025年大阪・関西万博の機会を生かし、温室効果ガスを実質ゼロにするカーボンニュートラルに役立つ最先端技術の開発・実証に取り組む企業を支援する事業で、応募があった20件の中から、「高効率レーザー照射技術」「高効率の水素製造装置」などが選ばれた。

 府新エネルギー産業振興施策審査会カーボンニュートラル技術開発・実証事業部会で、万博で披露する有効性や実現性▽技術面の新規性や優位性▽温室効果ガス削減効果▽市場優位性─などの観点から審査。府が審査結果を適切だと判断した新規事業と継続事業を6事業ずつ、計12事業を採択した。

 採択された新規事業の一つ「高効率レーザー照射技術」の事業者は吹田市の「EX‐Fusion」。ターゲット(レーザー照射対象物)の連続供給とレーザーを高精度に連続照射する技術開発に取り組んでいる。速くて正確な材料加工や半導体製造などにより、生産工程で省エネ・省資源による二酸化炭素(CO2)削減に貢献できる。

 継続事業の「高効率の水素製造装置の開発・実証」の事業者は大阪市の「グリーンメタネーション研究所」で、共同事業者は「新宮エネルギー」(大阪府高槻市)、「ティー・エヌ・プラン」(同和泉市)、「ルネッサンス・エナジー・リサーチ」(京都市)。

 固体化酸化物形電解セル(SOEC)を用いて、水の電気分解による高効率の水素製造装置の開発に取り組む。再生可能エネルギー発電などとの組み合わせに適したコンパクトな装置で、地域の中で再エネ由来電力を有効に活用し、低コストでCO2フリーのグリーン水素の製造を実現。万博開催時には、グリーン水素を燃料電池車への充填に活用することを目指す。

 吉村洋文大阪府知事は6月28日の記者会見で、「万博を契機に多くの中小企業、スタートアップに新しい技術にチャレンジしてほしい。その場をできるだけ多く準備したい」と期待を寄せた。